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長編

匿名 2023年1月22日
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怖くない 54
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これは俺(K)が1年くらい前の夏に体験した話です。 俺は夜、友達(A)と大きめの公園を走っていた。3周くらいして友達が肝試し的なのをやろうと言い出した。 A「なぁK、街灯ない暗い道あるやん?池も近くにあるとこ」 俺「うん」 A「そこ行ってみよーや」 俺「なんで?」 A「肝試し?笑」 俺「まぁ別にいいけどビビんなよ」 A「ビビるわけないやん」 そうして俺たちはその公園内にある、暗くて木々が生い茂っている小道に行くことにした。それから俺たちは10分くらい歩いた。そしてその道の入口のようなところに着いた。そこは真っ暗でライトの明かりがないと足元も見えないようなところだった。 A「うわこっわー」 俺「じゃあやめとく?」 A「いや行く」 俺「なんやそれ笑」 A「K、スマホのライト照らして」 俺「Aも照らしや」 A「うん」 そしてスマホのライトの明かりをMAXにして俺を先頭に進んだ。整備された道じゃなく、たまに大きめの木の枝が落ちているのでそれに注意しながら俺たちは進んだ。ほとんどずっと下を見ていた。怖いからじゃなくて普通に足元を見ないと危ないからだ。横には池もあり、そこに落ちる可能性もあった。 俺「A大丈夫か?笑」 A「ヤバいな、怖いわ笑」 俺「足元だけ気をつけよ」 A「うん危ないな」 俺「…わっ!!!」 A「うわっ、おいふざけんなよ」 俺「ごめんごめん笑笑」 そんな感じで俺たちは特に何もなく道の半分くらいに来た。そこにはベンチが一つと小さな石碑のようなものがあった。 A「これ怖ない?」 俺「そう?普通になんかの記念碑ちゃう?」 A「やとしても怖いわ」 俺「気にしすぎやろ笑」 A「そんなん言って怖いんやろ」 俺「幽霊は信じてるけど怖くわないから別に大丈夫やな」 A「信じてるんや」 俺「うん」 ベンチに腰掛けながら話していた俺たちはスマホを少しいじることにした。 5分くらい経ってAがそろそろ怖いから行こうと言ったので俺たちは再び進んだ。 ザッザッザッザッと俺たちの足音と鈴虫?の鳴き声だけが聞こえる。その時、 A「うわっ」 俺「うわ、なに?」 A「ごめん虫が飛んできた」 俺「幽霊より最悪やん」 A「いやそんなことないやろ」 正直虫と道の窪みや木の枝の方が怖かった。それからまた2分くらい歩いた時、急に足音が俺だけになったのに気づいた。 俺「A?」 A「…」 Aはどこかを見て立ち止まっている。 俺「もうええて、ふざけとったら憑かれるぞ」 A「…」 俺はAをライトで照らした。そしてAを見た時俺はゾッとした。Aが上を見て口を開けて唖然としていた。 俺「何してんねん。早よ行くぞ」 A「…何あれ」 やっとAが話したと思ったら怖いことを言い出した。 俺「あれってなに?」 俺はそう言いながらAが見ている上の方を見た。 そこに見えたのは10人くらいの影がまるで首を吊っているかのような形で木の周辺に浮かんでいた。 俺「うわっ」 一瞬で目を背けて、Aを連れて道の出口まで走った。それからは必死すぎたのかよく覚えていない。途中でつまずいて焦ったのは覚えてる。次にはっきりした記憶があるのは出口から何百メートルか離れたところで息を切らしてる時。 俺「A、大丈夫?」 A「うん、やばかったな。まじで」 俺「なんで上なんか見てん」 A「いやなんか垂れてきたと思ってパッて見たら」 俺「なるほど、まぁとりあえず帰るか」 A「うん」 俺「いやマジで焦ったわ。」 A「怖かったー」 そして俺たちは帰った。その日俺はAの家に泊まることになっていた。 公園から1kmは離れていないところにあるAの家に着いた。 俺「お邪魔します」 A「うむうむ」 Aはふざける余裕ができていた。俺も帰り道にした勉強の話とかで怖さがかなり和らいでいた。 俺「手洗ってくるけどいい?」 A「あぁ俺も行くわ」 俺「OK」 Aは一軒家に住んでおり、1階にLDK、1室、トイレ、洗面所、風呂があり、2階に部屋が3つある。 俺「あれ、ハンドソープ切れそうやん」 A「そうやねん、替えなあかんねん」 その時、Aがうわっ!と叫んだ。 俺「うわっ、耳元で叫ぶなよ」 A「違うねん、今後ろに人みたいなん見えんかった?」 俺「は?今日家族みんな仕事行ったり泊まったりしてるんやろ?」 A「公園のやつかな?」 俺「幻覚ちゃう?」 A「そうなんかな…」 洗面台の鏡には後ろにある部屋が見える。 そしてその部屋はAの部屋で俺も今日寝るところだった。 それから俺たちは出前でマ○ドを頼み、You○ubeを見たり勉強したりして時間を過ごした。 A「もう11時やん」 俺「いっつも何時に寝てるん」 A「10時とか」 俺「え?早ない?俺1時とかやで」 A「は?遅すぎやろ」 俺「じゃあそろそろ寝る?」 A「うん」 俺「じゃあ歯磨いとく」 A「あー俺も」 俺とAは洗面所に行って歯を磨き、洗面所の前のAの部屋で布団を敷いて寝る準備を始めた。 それからしばらくはAの恋バナを聞いていた。 A「やば、話しすぎたわ。寝るか」 俺「ほんま話しすぎやで笑」 A「まぁ、、じゃあおやすみ」 俺「おやすみ」 Aはベッドで、俺はその下に敷いてもらった布団で寝た。夜中の12時半頃だった。 寝ているとAが何か言ってるのが聞こえてた。 A「うーん、うぁ、んんん」 俺は寝言を言ったか、寝ぼけているのか、俺の夢かと思った。そしてそれで目が少し覚めてしまい、ぼやけた視界でベッドの方を見るとAが立っていた。 俺「何してるん」 A「うぅ」 俺「うるさいって」 俺は眠かったのもあり、少しキレ気味に言って再び寝ようとした。すると A「うあ゛ぁぁあ」 とAが叫んだ。俺はびっくりして飛び起きた。そしてAを見ると立ったまま首を抑えながら苦しそうにしている。いや、立ったというか浮いている。足元に台も無ければ首にロープも巻かれていない。 俺「おい何してんねん、大丈夫か」 Aは苦しそうにしながらも少し首を横に振った。 俺「何か首に詰まったんか?」 Aはまた横に首を振った。 俺はまずいと思い救急車を呼んだ。救急隊が来るまで7分くらいかかった。Aは救急車を呼んでから2分くらいで苦しまなくなって、気絶した。その時にはAの足はベッドに着いていた。俺は心音と呼吸を確認したがどっちも正常だった。一応俺は救急車が到着するまで声をかけ続けた。 結局Aが目を覚ましたのは病院。それも昼の2時。 A「なんで俺入院してるん」 俺「いや覚えてないん」 A「何が?」 俺「夜苦しんで失神したやん」 A「え?!」 俺「え?!覚えてないん」 A「うん、普通に寝てた」 俺「いやよう言うわ。救急車呼んだのは?」 A「知らん」 俺「なんでやねん」 俺はAに夜中の出来事を話した。 A「マジで?全然覚えてない。怖すぎやろ」 俺「怖いのは俺の方やわ」 A「それで病院着いてからどうなったん」 俺「あぁ、、、」 Aは病院に着いても気を失ったままだった。窒息を疑った医師は喉を確認した。すると喉を見る前に首の痣に気づいた。恐らく俺がやったと思ったんだろう、医師のうちの1人が俺に事情を話すよう言った。 医師「Aさんの首に絞められた跡があったんですがなにかご存知じゃないですか?」 俺「え、わからないです」 医師「んんー」 俺「俺を疑ってますか?」 医師「その可能性もなくはないと思うので」 俺「じゃあ痣と俺の手を比べてみましょう」 医師「では急いで来てください」 俺は医師に案内されて治療室に入った。そしてAの首にはっきりとある痣に合わせた。 医師「えっ…」 その場にいたほぼ全員が驚いて声を失った。俺の手よりそれは明らかに小さく細いのだ。 医師「どうやらあなたではないようですね」 俺「はい、けどどうしてこんな跡が…」 医師「わかりません…」 それから俺は1時間くらい治療室の前で待っていた。そして医師が出てきて俺に説明した。 どうやらAの喉に何かが詰まっていたらしく、それが髪の毛だったらしい。1本や2本じゃなくて束のようになっていたらしい。俺はどうして喉を確認する前に俺に首の痣を確認したのかと思ったが、実は俺が治療室の前で医師に疑われている時にすでに取り出していたらしい。 A「気持ち悪っ…」 俺「しかも髪の毛長かったらしくてAのでも俺のでもなさそうって」 A「うわ吐き気してきた」 そんな会話をしていると医師がきた。 今日一日入院して安静にすれば明日には退院できるとのこと。 俺「よかったな」 A「とりあえずはな」 そして次の日、俺はAを病院まで迎えに行った。その帰りに俺はふと思い出した。今まで忙しすぎて疲れて気づかなかった。 公園でAと俺が見た首を吊っているような影。Aが家で見た影。Aの窒息、首の痣。 Aが苦しんでいる時少し浮いていたこと。 Aが言った、「何かが垂れてきたと思って…」 繋がったような気がした。

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