
冬休み、スキー旅行を計画していた。妻は急な用事で行けなくなり、俺は5歳の娘と3歳の息子を連れて高原のペンションへ向かった。
雪が降り積もる中、ペンションに着いたのは午後2時過ぎ。周囲は静まり返り、雪の中から聞こえるのは子供たちの笑い声だけだった。
ペンションの中も誰もおらず、ただ静かな空気が漂っていた。食事を済ませ、子供たちを寝かせることにした。夕方までスキーを楽しんだ疲れもあって、3人ともすぐに夢の中へ落ちていった。
夜中、目が覚めると時計はちょうど23時を指していた。子供たちはまだ寝ているが、俺は寒さで目が冴えてしまった。そっと起き上がり、冷蔵庫からビールを取り出すと、子供たちの寝顔を見ながらホッと一息ついた。
その時、子供たちが何かに気づいたように目を覚ました。娘が「外で変な音がする!」と叫び、次男も興奮して飛び跳ねていた。何が起きているのか不思議に思い、カーテンを開けて外を覗くと、雪の中に黒い影が見えた。まるで誰かが雪の中で遊んでいるようだった。
俺は不安になり、子供たちを静かにさせるべく、「もう寝よう」と言ったが、娘は「見たい!」と窓に駆け寄った。俺も再度外を見ると、その黒い影はペンションの入り口に向かって何度もぶつかっていた。何かにとりつかれたように、同じ動作を繰り返していた。
気味が悪くなり、受付に電話をかけた。「外に何かいるんですけど、確認してもらえますか?」と伝えると、従業員はすぐに外に出ると言った。しかし、待てど暮らせど誰も出てこない。再び電話をかけると、従業員は「何も見えない」と困惑した声で答えた。
その言葉に俺の不安は膨れ上がる。もう一度窓の外を見てみると、黒い影は依然としてぶつかり続けていた。しかし、今度はその動きが速くなり、ゆっくりと俺の方を見上げたように感じた。目がないはずなのに、まるで俺を見ているかのような感覚に襲われた。
その瞬間、次男が俺の足に抱きついてきた。「パパ、遊ぼう!」と無邪気に言った。その声で我に返り、慌ててカーテンを閉めた。子供たちを抱きしめ、布団に入れたが、あの黒い影を見せてはいけないという本能的な恐怖が心を支配していた。
その後、布団の中で何とか眠りに落ちようとしたが、恐怖が消えない。時計を見れば、朝の4時を過ぎていた。子供たちは静かに寝ていたが、俺は再び窓に向かい、外を見ることにした。もう黒い影は見当たらず、ただ薄暗い景色が広がっていた。
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