お題 短編
◇井戸の中の男の子◇

私の通っていた小学校には、校舎の裏に古い井戸がありました。ただしその井戸はもう何十年も前から使われていない井戸でした。
ある時、その井戸に子どもが落ちたのではないかと、大騒ぎになる騒動があったのです。
直接子どもが落ちた瞬間を見た人はいなかったのですが、その井戸から“子どもの呼ぶ声”を聞いた人が何人もいたのです。
ちなみに私も確かに聞きました。
「おーい、誰かーー」と男の子が呼ぶ声を聞いたんです。
勿論、あわてて友達と一緒に先生を呼びに行きました。
すると先生は何故かなれた樣子で「ありがとう。だけど大丈夫だから」と言うだけで、助けに向かおうとはしませんでした。
意味不明だったので私の友達が「どうして助けないんですか?」と訊ねたんです。
すると先生は事情を説明してくれました。
理由はわからないけれど、たまに井戸から声が聞こえたと言いにくる生徒がいるけれど、そもそも板で何重にも塞いでいるので、落ちるはずがないのだと言われたのです。
確かに言われてみると井戸は分厚い板で塞がれていました。
では何故声が聞こえるのか?
先生は私たちのそんな疑問に「板の隙間に風が入って、声のように聞こえたんじゃないか?」と言っていました。
でもあきらかにそんな音ではなく、私たちが聞いたのは男の子の呼ぶような声でした。
だから私たちが卒業して何年かして、その井戸を塞ぐ工事をした時に大きな事故で怪我人が出たと聞いた時は、やっぱりあの井戸には何かがあったのだと噂になったのでした。
最後まで読んで下さり、ありがとうございますm(_ _)m。
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