
長編
S地区での出来事
pop 2015年7月28日
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これは、私の友人が体験した話です。
友人の住んでいるS区では昔からある噂があったのです。それは、友人の住んでいるマンションの近くにある使われなくなったトンネルのことです。長さは全長50メートル程あり、入り口と出口には人が入れないように扉がついていて、いかにも昔何かあった風だったと言います。
その噂を知らなかった当時小学生四年だった彼女は、学校の友達の三人とまだ扉がついていなかったそのトンネルについて下校中に話していました。
(仮にその友達をA君B君Cちゃんとします。)
A君「なぁなぁ、この近くにある◯◯トンネルって知ってるか?」
Cちゃん「あぁ、N子(友人)のマンションの近くにあるあのトンネルでしょ?でもあそこお父さんとお母さんがいつもいっちゃダメって言ってるよ。」
B君「うん、うちもそうだよ。うちのばーちゃんは何か知ってるみたいだけど何か怖くて聞けないんだ。」
A君「柵とかしてないし、一度いってみないか?」
N子「ダメだよ!うちのお母さん霊感あるんだけど、あそこだけは危険だから絶対行かないでって言ってるもの。」
A君「ちぇっ。つまんねぇのー。」
しかしそれから5日後、事態は急変します。
A君が一人であのトンネルに入ったまま行方不明になったのです。
親や警察はあわてふためいてA君の行きそうな場所を探しましたがどこにもいません。
そして友人達があのトンネルの事を話したところ、A君の両親は顔を真っ青にして、
A君の母「そうね。私達がAに何も言ってなかったのが悪かったのね。悪いけど、あなた達も一緒にあのトンネルに来てくれないかしら。あのトンネルに入った者を救えるのは子供しかいないの。」
と泣きながら言いました。どうやら、トンネルの霊は子供にしか見えないようです。
友人達は歯をくいしばってA君を救うためにトンネルに入りました。
遠くからは見えなかったみたいですが、トンネルの正面にはかすれた字で
「カシナトンネル」と書いてあったようです。
その時友人はふと思ったようですが、A君の両親がなぜか警察を呼んでいなかったことに疑問を感じたようです。
それでも中に入ったら、昼間にもかかわらず薄暗くて、気味が悪かったといいます。
暫く行くと、まるで溜池のようになっている水溜まりの前で体育座りになっているA君を発見したそうです。
友人達はA君が生きていた事にほっしてB君が
「おい、A!大丈夫か!?」
と聞くと、A君は焦点が定まっていない目でB君を睨むと、
「来るな、来るな!くるなぁ!!!」
と言ってB君の手を払いのけました。
暫くするとA君はトンネルの天井をじっと見てぶつぶつ言い始めました。
いつまでも見ているので、Cちゃんは
「何上ばっかり見てるの...」
と言ってA君と同じ場所に立ち上を見た瞬間、
「キャーーー!!!」
っと言って友人に抱きつきました。
B君と友人が顔を見合わせ二人が上を見ると、
天井に首から下が無い男の顔がじっと友人達を見ていたそうです。
B君と友人もCちゃんと同じく叫ぶと、三人でいそいでA君を連れてトンネルを抜け出しました。
するとあることに気がつきました。さっきまでいたA君の両親がいないのです。
そして、急いでトンネルから一番近い友人の家に行くと、友人の両親が血相を変えて
「急いで中に入りなさい!!!」
と言ってA君をベッドに寝かせB君のお婆ちゃんとお祓いの人みたいな人が入ってきて、お婆ちゃんは部屋の四方に塩を置いて、お祓いの人は念仏を唱えました。
「ナンダーアーム.....」
のような言葉を暫く唱えたあと、お祓いは終わったようでB君のお婆ちゃんがあのトンネルの事を話してくれました。
実は、あのトンネルは昔は普通に使われていたそうなのですが、ある日酒に酔ったヤンキー達がトンネルを歩いていた塾帰りの
少年にカツアゲをし、少年がお金を持っていない事が分かると、鉄パイプで少年を何回も殴り、それでも逃げようとした少年を足で蹴って挙げ句の果てには体に火をつけて少年は苦しみながら死んでいったそうです。天井には血飛沫が飛んでそれは見るも無惨だったそうです。捕まったヤンキー達は、笑いながら連行されたそうです。
それからそのトンネルでは事故が度々発生し、ついにはトンネルを閉鎖するにまで至ったそうです。
それを聞いた友人達は顔が真っ青になりました。
あとから分かったことなのですが、A君の両親はあの時A君が助からないと思って子供しか行けないと嘘をつき、友人達を殺そうとしたそうなのです。
あれから何年か経ち、A君の両親はあのあとすぐ離婚し、A君はB君の家で元気に過ごしているそうです。
そして、ある日友人が学校から帰って来ると、友人の母親が、
「あらお帰りなさい。お友達も一緒なの?」
と言いました。
友人「え、誰も連れてないけど.....」
母「え、だっているじゃない、さっきからあなたの後ろに男の子が。」
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