
中編
呪われたコピー機
匿名 2016年6月9日
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俺は小さいながらも代々親から引き継いでいる家具屋の社長だ。
社長と言っても社員は誰もいなくて、1人親方というやつだ。
1人は気楽で良い。
嫌な上司に目をつけられる事も無く、
自分のペースで仕事ができるのだから。
ただ1人となるとやはり仕事が溜まって仕方がない。
少しだが売り上げが伸びており、俺は奮発して中古のコピー機を買おうと色々と探っていた。
そんなある日、
会社に若いセールスマンが来たのだ。
日頃の雑貨からパソコン、そしてコピー機など...
コピー機を探している事を伝えると、若いセールスマンは1つ格安で手に入るコピー機があるという。
状態も良好。特に不具合の無い美品だがなぜかそのコピー機だけは売れないという。
そんな話もちろん断る訳がない。
俺はなんの迷いも無くそのコピー機の購入手続きをした。
若いセールスマンも「これはお得な買い物ですよ」なんて言うから俺はもうラッキーと思ったね。
そのコピー機は3日ほどで届けられた。
今まで殺風景だった会社が、コピー機があるだけで結構変わるもんだ。
俺はウキウキしながら色々と試運転。
なんだ、全然動くじゃないか。
本当にラッキーな買い物をした...
そう思っていた。
だが、それは俺を恐怖のドン底に落とす為の恐しいものだったのだ。
俺は見積もりやらで深夜遅くまで会社に篭っていた。
外は重々しくと雨が鳴っている。
眠気と仕事が進まない事にイライラしていたが、ここでようやくコピー機登場だ。
コピーの電源を入れ、サイズを選択する。
いざコピーという所で何かがおかしい。
コピー機がおかしいのでは無く、
何か...空気が違う様な...?
重々しい空気に戸惑いつつ俺はコピーを始めた。
「ウィーーーン」
コピー機が鳴り始める。
同時に「ガクン」と何かが落ちた音がした。
「なんだ...?」
「誰かいるのか!?」
誰もいるはずがないのだ。
この会社には俺1人しかいないのだから。
次の瞬間、俺は驚愕した。
コピー機が奇妙な文を凄い勢いで印刷しているのだ。
紙一面に
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん」
と書かれた狂った文だったのだ。
「え、ちょ...なんだよこれ」
ストップボタンを連打してもコピー機は動き続けている。
次第にコピー機は奇妙な文から何やら絵に印刷を切り替えていく。
その絵はコマ送りのようにカクカクと動き、俺はビビりながらその絵をじっと凝視した。
殺風景な部屋で何やら髪の長い女が俺と同じコピー機でケタケタ笑いながら印刷している。
女は大量に印刷された紙を手に取ると足元にばらまき、側にある椅子にゆっくりと登った。
「え、ちょ...おい」
女はケタケタ不気味に笑いながら吊るされた縄に首を通すとガクン、と首を吊って無残な姿になった。
そこで手元のコピー機の印刷は止まった。
「うっ...」
俺は強烈な吐き気に侵され、その場で吐いてしまった。
山積みにされた狂った文
その一番上の紙にはこう書かれてあった。
「死ね」 ...と。
間違いない。
さっきした「ガクン」という音は女の首を吊った音だ。
あの女が近くにいる...
俺は猛ダッシュで会社から出ると、
ずぶ濡れになりながら家に帰った。
次の日、
俺は若いセールスマンを呼んでコピー機を引き取ってもらう事にした。
セールスマンは不気味な表情で口を開いた。
「そうですか...あなたも見えましたか」
若いセールスマン曰く、そのコピー機は数ヶ月前、首吊り自殺をした女の呪いが込められているという。
俺はもう二度と中古の物は買わないと固く誓った。
もしあなたが中古品を買う機会があればよく考えて欲しい。
もしかしたらそれは何か...表沙汰にはできない理由があるのかもしれない。
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