
中編
冬の肝試しは暗くて、寒い。
匿名 2019年2月23日
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この前、学校の友達と二人で肝試しに行った時の話。
私の家からすぐそこの山に行くことになり、山道の少し手前の自動販売機の前に集合で、友達は少し家が遠いのでバイクで私より早く着いて待っていてくれていた。
「寒いわ、今何月やと思ってんねん、早よ来んかい。まだ八時やけどとっくに暗いねん。」
ここで一喝された、友達が少し早く来たのではなく、私が遅刻をした。ライトを探しに手こずってしまったせいだ。そして2月ということもあり肌に刺さるほどの寒さだった。
肝試しの内容は至ってシンプル、暗い山道の中をしばらく歩いて帰ってくるだけの予定だった。
自動販売機の横にバイクを止めて、しっかり鍵も閉めた。まぁ誰も盗るはずもないのだが。
山道は少し行くと川があった。じゃんけんで負けた方が川の水を飲む約束だったが、遅刻した私が飲む羽目になった。
ほんの少し飲んだ。
体の芯まで冷える。肝試しが怖い訳でもないのに震えながら山道を進んだ。
次に大きく左に曲がる道があった。
そこで大きく風が吹いた。
友達も怖いというより、寒いので内心は帰りたかったのだろう。なので私が言った。
「もう帰ろう。寒すぎる。」
すると友達もすぐに賛成してくれたので引き返すことにした。
ここで初めて少し怖くなってきた。振り返るとさっき歩いた山道が真っ暗だったからだ。当たり前だが。
先程の道を曲がり、冷たい川を通った。行きに比べて帰りは案外早いものだ。
少し早歩きで山道を下っていくと、すぐに明かりが見えた。自動販売機の明かりだ。
「なんか、しょうもないわ。また友達もっと呼んで夏来よ。」
そう行って帰る雰囲気になった時、急に友達の顔が青ざめた。
「やばい、ほんまにやばい。」
私の友達は少し語彙力がない。
「バイクの鍵ないねん。お願いやから一緒に探してや。頼む。」
時間は8時半頃、そろそろ晩御飯の時間なのだが、友達が家に帰れないので一緒に探してあげることにした。
友達は右ポケットに入れたと豪語するので、その周辺を探したがどこにもない。
そこで友達が、「あっ。」
何か思い出したようだ。
「ごめん、あっこや、川のところや。お前が水飲むところ動画に撮っててんけど、ポケットから携帯とる時に落ちたんやわ、多分。」
ライトを付けて再び山道に入った。
最悪だ。ライトが切れた。
と思うと、またついた。
「お、それっぽくなってきたやん。」
友達がそう言うので私は言った。
「何かあったらお前のせいだからな。」
そして、川で水を飲んだところまできた。
それから10分ほど探したが鍵が見つからない。
「もう寒いから明日にしよう。」
私は友達を説得して、友達には歩いて帰ってもらうことにした。
自動販売機の所まで戻ってきたところで、友達がまた青ざめた顔をした。
私はこう言った。
「ポケットに入ってたなんて言うなよ。今度こそ怒るからな?」
すると友達は凍りついた顔で言った。
「バイクに鍵が刺さってんねや。確かに鍵閉めてポケットに入れたのに。ほんまやって。」
そこには確かに鍵が刺さっていた。
私も確かに友達がバイクの鍵を閉めていてたのを覚えているのだ。世の中には本当に不思議なこともある。
その瞬間、冬の寒さは心にまで届く寒さとなった。
後日談:
- その山には友達との秘密基地を作っていたこともあり、まだまだ不思議な話があるのでまた話します。
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