
中編
エスカレーター
匿名 2日前
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子供の頃の体験。
まだ幼児だった俺は、母親に連れられデパートに行った。
その頃は夏だったので、お中元か何かを注文しに行っていたんだと思う。
いろんな商品を見ながら、そのあと席につき母親と店員が話していた。
すぐに終わるかと思ったらずっと話していて、いつまでも終わらない。
暇になった俺は近くにあるもので手悪戯していると、母親に注意され
「おもちゃ売場にでも行ってなさい。」
と言われた。
当時は、子供が一人で出歩いても迷子でない限り問題ない時代だった。
そしてエスカレーターを登っておもちゃ売場に向かう俺。
あと少しでおもちゃ売場のある階に着くとき、俺はふと思いつき
「このエスカレーター、どこまで続いているんだろう。」
と思った。
そして俺は、おもちゃ売場のある階を通り過ぎてエスカレーターをずっと登っていった。
本屋のフロア、レストランのフロアを過ぎてさらに上に行く俺。
しばらくはエスカレーターに乗っている人も他にたくさんいたがだんだんと人が少なくなっていった。
そこから先には駐車場のフロアが3階分ほどあった。
駐車場の上にも何かの店があるフロアがいくつかあったが、人通りやエスカレーターを行き来する人が少なくなった感じがした。
さらに登っていくと、空きテナントのような何もないフロアに出た。
そのようなフロアがいくつも続いている。
フロアは勿論、エスカレーターにも俺以外に誰もいなかった。
エスカレーターだけがカタカタカタ・・といつもの音でひたすらに動いていた。
そして上に行くにつれて段々と暗くなった。
登ると、また隣に次のエスカレーターが薄暗いあかりのなか動いているのがずっと続いていた。
俺は怖くなって引き返そうと思ったが、下りのエスカレーターにどうやってたどり着けばいいのか分からないし、エスカレーターを逆走するという考えもなかった。
エスカレーターは延々と上に動いていて、どこまでも続いていた。
たどり着く階はどこも何もなく、暗くて何もない建物のなかエスカレーターだけがカタカタと上に動いていた。
俺は泣きながらひたすらエスカレーターを乗り継いでいた。
カタカタカタカタ・・・
延々と上に続くエスカレーター、進んでも先には別のエスカレーター・・
どれくらい登っただろうか。
エスカレーターで上に上がっていくと、少しずつ明るくなってきた。
デパートの賑やかな音もきこえてきた。
よかった。上の階にも人がいるんだと安心した。
そこで
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