
長編
櫛分け女
砂凜 4日前
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私達がこんな目に合わなければならないんだろう…私達を怖がらせているのはなんなのかはわからない。
少しすると音が止んだ。
私達は震えていた。確かめる勇気すら、布団から出ようとする行動力すら無かった。
するとトイレとは逆側の襖があく音がした。逆側には父と母が寝ている部屋がある。そこから誰か出てきて歩く音がする。私達は助かったと思って布団から飛び出て襖を開けた。
助かって無かった。
赤黒い目をした人影がふすまの前にいた。
そして赤黒い目が私達を見下していた
「お姉ちゃん!」私が声を出すと黒い人影が笑った。笑ったように思えただけかもしれない。お姉ちゃんは私の腕をつかんで部屋に引っ張り襖を閉めようとした。しかし完全には閉まらない。襖と木の柱の間に何かが挟まっていた。
「ぎぁぁぁ!」私達の悲鳴が古い和室に響き渡った。黒い影は襖の隙間の下の方から赤黒い目だけがこちら見つめていた。姉は悲鳴を上げながら部屋の隅に座り込んだ。私はそこから動けなかった。
赤黒い目の影はゆっくりと襖を開けて近づいてきた。
私は謝った。なぜかわからないが謝るしか無いと思った。「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」赤黒い目の影は私の顔の前まで近づいていた。私はもう何も出来なかった。悲鳴を上げることも謝ることも…
姉も耳を塞ぎ震えていた。
突然襖が大きな音を出してあいた。
「大丈夫か!?」
襖を開けたのは父だった。姉と私は父の元に駆け寄った。
もう部屋の中にあの影はいなかった。
父は「大丈夫か?何があった?」
私達は今まで起こったことを話した。父は頭を撫でながら
今夜は父と母の部屋で寝ることにした。
もうその夜は何も起きなかった。
でも寝ることは出来なかった。
父も突然目が覚めて隣の部屋で寝ている私達が気になったらしい。
次の日の朝、近所に住む人が私達を家に呼んだ。
その人が話してくれたのは去年無くなったおばちゃんの話だった。
その人曰く、おばちゃんが小さい頃は貧乏でお化粧や髪の手入れとかできる余裕が無くていつも肌はガサガサで髪も痛んでいて女として恥ずかしい生活だったらしい。
それで今の若い人達を見ると憧れと妬みの目で見てたらしい。その話をしてくれた人もおばちゃんと一緒の生活だったから辛さはよく解るって言っていた。
でもおばちゃんが20歳になるとお見合いの話があっておじちゃんと結婚したんだって。その時はおじちゃんもお金が無くて小綺麗な櫛を結婚の贈り物
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- 櫛の半分はどうなったのですか?うんこりん
- 信じられないような話ですが、本当にあった話なんですね。ぼんばー50