
長編
ま、ま、ま、ま、ま
匿名 2019年1月10日
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友人の母親の葬式に参加した時に、一緒に行った友人Yからとんでもない話しを聞いてしまった。
それは、友人Yが取り返しのつかないことをしてしまった人生最大の過ちの話しである。
そして、私自身
今、その話しを聞くべきではなかったと後悔している。恐らく、私は当事者でないから害はないと信じているが、何も起きないという保障はない。
そのため、私と友人の極一部が知る情報をここに投稿し、ユーザーとシェアすることで身の安全が確保できるのではないかと思い、友人Yの話しをここに書こうと思う。
友人Y(以下Y)の友人A(以下A)は大学生のノリで廃墟に行ったり、心霊スポットに行ったりと破天荒な奴だった。
A自体は、霊とかそういった類のものをあまり信じていない人間だ。
ちなみに、私はAとも友人である。
AとYは大学の学食でよく昼ごはんを一緒に食べる。
その時の会話のノリで、心霊スポットに行ってみようという話しになったり、廃墟に行こうという話しになって授業終了後に実際に行ったりしている。
だが、最近は近隣の廃墟や心霊スポットも行き尽くしてネタ切れ状態だったそうだ。
その日は、数年前に流行した「一人隠れんぼ」の話題を食堂でしていたらしい。
話しの流れからYとAは、「一人隠れんぼ」をやってみようと盛り上がったそうだ。
場所はどこでやるかと話した時に、Aの両親が土日に旅行でいないからその日に決行しようということになった。
Yは、当日の夜9:00にA宅に行った。
Aは、直ぐにYを家に招きいれリビングに通してくれた。
部屋は明るくバラエティ番組がテレビで放送されていたため、これから本当に「一人隠れんぼ」をするのか?と拍子抜けしてしまったらしい。
Aは「カップ麺食べる?」とYに聞き、Yは「もらう」と一言返した。
Yはダイニングテーブルの椅子に座り、バラエティ番組を見ながらAの作るカップ麺を待っていたのだが、あるものがテーブルの上に置いてあることに気がついた。
その瞬間、Yは背筋に電流が流れるような悪寒を感じたそうだ。
Yが見たテーブルの上の物は、一枚の紙だった。
手書きで50音順に平仮名が並べられ、中心に鳥居のマーク、両脇にはYES NO。
Yは、Aに言った。
Y「Aさ、これもやんの?」
A「何が?」
Y「こっくりさん」
A「あっ、気づいた笑」
と軽いノリで返してきたらしい。
Y「えっ、これいつやんの?今?」
A「いや、同時だよ。」
Y「同時ってどういうこと?」
A「一人隠れんぼしてる時に、こっくりさんやるんだよ」
Y「えっ、マジ?聞いてないけど笑。それで何するつもりなの?」
A「戦わせるに決まってんじゃん。」
Y「あはははは笑」
YはAの怪獣映画のようなノリで最強降霊術をやろうとしているアホさに思わず笑った。
だが、元々A程強気ではないYには一抹の不安がよぎったそうだ。
その後、カップ麺をYは食した後
しばらくAとテレビを見て過ごした。
夜12時に、YとAは始動した。
A「そもそもどうやるんだっけ?」
この時点で、誰も調べていなかったのでYとAはスマホでその場で調べながら準備した。
ぬいぐるみはAがUFOキャチャーで用意した某テーマパークキャラクターの人形が用意された。
人形の綿は思った以上に硬く、Aは顔の部分をカッターでくり抜いた。
そこにアロンアルファで米をくっつけたらしい。
そして、穴の空いた顔にルーズリーフを貼りルーズリーフにゴズィラと手書きで書き殴った。
本来は赤い糸で縫う必要があるとか、綿を全部抜かなくてはならないとの手順があるがAが面倒くさがって省略したとのことだ。
Yからすれば、キョンシーのような人形は不気味だったが正当な手続きを踏まなかったのでちょっと安心したそうだ。
その後、風呂桶に水を張り
隠れ場所にAの寝室のクローゼットを選び塩水を用意した。
クローゼットの中には懐中電灯とこっくりさんの用紙も一緒にしまわれた。
深夜3時になり、YとAは浴室にゴズィラと名づけた人形を持って行き、メモを見ながら段取り通りに部屋の電気を消し、10秒目を閉じて数えてから浴室にあるゴズィラを包丁で刺した。
Aは「次はゴズィラが鬼だからな」と言い
一緒にYとクローゼットまで戻ってきた。
辺りはシーンと静まり返っているが、Aだけは違う。
Aは「ゴズィラ追いかけてくんかな?」「Yいたら2人隠れんぼか?」みたいな感じで怖がる様子なく、おちゃらけている。
Yはそんな普段通りのAが側にいてこのまま何も起きなそうだなと安堵したという。
クローゼットの中で懐中電灯をAが点けた。
Y「お前やめろよ。見つかるだろ。」
A「はっ、お前信じてんの笑」
Y「いや、まぁ一応。」
A「お前ビビリだな〜、今まで心霊スポット行っても何も起きないだろ。今回も同じだよ。どうせ。ついでにこれやろうぜ。」
とAがコックリさんの紙を取り出した。
Yはもう作法も何も関係ないなと思いながら、クローゼットの中で10円を取り出し鳥居に置いた。
その10円に、YとAは指を置いた。
すると2〜3秒して突然、10円が何も質問していないのに前方へ滑った。
Yは突然の出来事に「うわぁ」と声をあげた。
A「おい、そんな大声あげるなよ。ゴジラにバレるだろ。」
Y「いやだって、10円が」
A「バカ。あれは俺が動かしたんだよ笑」
完全にAはコックリさんもYも馬鹿にしている。
その後、2〜3分10円玉に指を乗せ何もなく経過していた。
A「なぁ、10円全然動かなくない?」
Aはコックリさんの手順を知らなかったらしい。
Y「いやいや、こっちが質問しなきゃ動かないよ。それに降霊の手順みたいのあるし。」
正直、Yは何かが起きるのは嫌だったからこのままでいいかと思っていた。
A「お前、ビビリだな〜本当に。手順知ってるのに何も言わなかったんでしょ。」
図星を突かれてYはムッとした。本当だったらこのままAを誤魔化そうとも思ったが、Yも意地でやり通すことを決めたらしい。
Y「お前、絶対に10円から手を出すなよ」
A「わかったよ。早くやろうよ。」
Y「こっくりさんこっくりさん、おこしになりましたか?」
Yはうろ覚えながら始めた。
A「なんだよ、何も起きないじゃん。」
何故かAに馬鹿にされたと思ったYは、わざと10円玉をYESに動かそうとした。
だが、10円玉はびくとも動かない。
Yはこの時、Aの力強いなと感心したらしい。
その後もAは手順など無視して質問をしまくった?
「俺の寿命を教えて?」
「外のゴズィラと戦って!」
「お前は何者?」
しかし、10円玉は動く気配はない。
そして、その時は来た。
A「ねぇ、ゴズィラの正体は?」
この時も10円玉は動かなかった。
すると突然、1階のリビングから甲高い呼び出し音が響いた。
プルルルルプルルルルプルルルル
体がビクッと震えた。
Aを見るとさすがに顔が硬直していたそうだ。
2人で顔を見合わせる。
電話のコールは30秒ほどなってキレた。
Yは正直泣きそうだったらしい。
Aは顔が強張りながらも冗談を言ったそうだ。
A「てか、近所迷惑じゃね?」
しばらくして、Aが動こうとした。
A「ちょっと1階見てくるわ。」
Y「お前、馬鹿!10円!」
A「あっ。」
Aは10円から手を離していた。
A「俺さ、様子見てくるから中で待ってて。」
Y「いや、おまえ。まだ、待った方がいいって」
A「大丈夫だよ。」
Aはそう言うと、Yをクローゼットに残して一人1階に行ってしまった。
Yはその間も信心深く10円玉から指を離そうとしなかったそうだ。
するとYが触れていた10円玉がわずかに動く感覚を感じた。
んっ!?と気になり10円を見るとYの指を乗せた10円玉はゆっくりと平仮名文字の上を移動し始めた。
Yはその時、あまりに唐突に動き出したので、頭が真っ白になったそうだ。
Aは1階に行っるし、自分はクローゼットに一人だし、自分が一体何に怯えてびびっているのかもわからなくなり
ただ呆然としたそうだ。
その後、10円玉は平仮名の「ま」という文字を行ったりきたりしていたらしい。
ま、ま、ま、ま、ま
なんだ「ま」ってと思っていたら
突然、部屋の電気が明るくなるのを感じた。
Aがガラっとクローゼットを開ける
光が差し込み眩しい。
Aは急いでいるようにまくし立てた。
A「悪い、このゲーム終了な。」
Y「えっ、なんかあったの?」
A「いや、何もないよ。だけど、とにかく急がなくちゃならないんだ。悪いけどY、今から家帰れる?」
Yの頭は完全にフリーズした。
A「もし家帰れなそうなら、ここ泊まってて!自由に使っていいから。」
Y「自由に使えって言ったって」
A「もし、帰るなら鍵ポストに入れてって。」
そういいながら、上着を羽織るとAは一言「ごめん、詳しいことは後で説明する。」と言って部屋を出ていった。
YはAの家に取り残されたが、少しずつ現実感が戻ってきた。
気がつけば、Yの指は10円から離れていたが
もはや、それもYにはそれもどうでもよかった。
電話が夜中に鳴った家や10円が奇妙に動いた家には1秒もいたくないと思った。
Yは、クローゼットから出ると部屋の中が奇妙な臭いがで充満していることに気がついた。
線香の匂いだ。
線香の匂いが有り得ないほど充満している。
これはヤバい。
そう思ったYは、Aの家の電気を消すのも忘れる勢いで飛び出した。
Aの車はもうすでにガレージにない。
Yは仕方ないので、人がいそうな駅に向かって走った。
あまりにもびっくりして鍵も放置したまま出てきたそうだ。
Yは放心状態になりながら、駅に着き朝になるまでコンビニで過ごしたそうだ。
・・・・・
私はYからこのエピソードをAの母親の通夜の時に聞いた。
その時、後日談もYから聞いた。
どうやら、夜中に鳴った電話は旅行先で両親が交通事故に会い危篤だと言う電話だったということ。
そして、Aは一階にいった時に自分の携帯に通知される親戚からのメッセージに気がついて、慌てて家を飛び出したということ。
私はなるほど、これでAの行動が全て説明がつくと理解した。
Aの母親には申し訳ないが、途中まで怪談話しと思っていた私はYから聞いた後日談を聞いて怪談話しではないと一瞬安堵した。
まぁ、こっくりさんの10円の謎や線香の謎は残るが、偶然や勘違いもあるだろう。
Yも混乱しているからきっといろんな偶然が重なりパニックになったのだろう。
しかし、そんな私の安堵は最後にSが言った一言で崩壊した。
S「申し訳ないO(私)。これを俺が一人で抱えるには重すぎると思うから言うな。」
私「何?」
S「もしかしたら、ゴズィラの正体。Aのママかもしれない。」
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