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長編

堤防の暗渠

しもやん 2日前
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怖くない 367
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た。  その後水路は何度も分岐した。Y字、T字、三俣。どの道を選ぶかはそのときの気分だった。なんとなく右が気持ち悪いと思えば左に、その逆なら右に、真ん中は奈落の底に続いていると感じれば避ける。分岐路を選んで進んでいくたび、林の明晰な判断を反芻した。〈流れの逆を辿っていけば戻れる〉。水が逆流しない限りは。  ふと気がつくと、俺は寒さを感じていた。  外の熱気がまったく届かないほどはるか下まで降りてきてしまった証拠だった。買ってもらったGショックで時間を確認すると、入ってから1時間以上も経っている。背筋を冷たい汗が這い下りた。子どもの足とはいえ、これだけの時間が経っていれば4キロは歩いたことになる。なにが目的で掘られたにせよ、いくらなんでも長すぎるし、深入りしすぎていた。  なあ河村、そろそろ引き返そうや。  返答はなかった。振り返ると、誰もいなかった。河村はおろか林も姿を消していた。俺は冷静に、連中は俺を驚かせようとして反対側にでも移って息をひそめているのだと感づいた。懐中電灯の灯りを周辺に投げかける。  やはり誰もいない。よく考えてみると、途中からサンダルの足音は俺だけのものだった気がする。2人とも黙って勝手に引き返したのだろうか? 懐中電灯なしで、この真っ暗闇の水路を?  たぶんそうしたんだろう。 〈流れの逆を辿っていけば戻れる〉。彼らはその理論を地でいったのだ。  俺は地下深くの迷宮で1人、呆然と立ち尽くしていた。

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  • すごいですね、中途な終わり方も怖さ引き立ててます、途中で亡くなったのですかね。。
    みを
  • この後どうなったの????
    ばん
  • 度胸あるな。
    三つ鳥居
  • 川村も林も初めから存在しなかった。 と言う事かな?
    咲 桜花
  • 終わり方、変じゃない?続きがあるの?
    K
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