
若手社員の話です。彼はカメラが好きで、週末になると海岸近くの崖に出かけては、風景や海の生き物を撮影していました。
だんだんと同じような写真に飽きてしまった彼は、刺激を求めて夜の撮影に挑戦することにしました。
ちょうど彼の家の近くには、崖の頂上から海を見下ろせる絶好のスポットがあったのです。そこは街灯も少なく、月明かりだけが頼りの、他の人が滅多に訪れない場所でした。
その晩も、彼は崖の端にカメラを設置し、撮影に夢中になっていました。すると、遠くから車の音が聞こえてきました。
(もしや、酒を飲んだ連中が来たのか?)と不安になった彼は、すぐに身を潜めることにしました。
車は崖の近くに停まり、大きなトランクから中年の男性が降りてきました。彼は何かを抱えては崖を登ったり降りたりしていたのです。
「見つかってはいけない」と直感した彼は、心臓が高鳴る中、じっと待ちました。男性がトランクに戻ると、彼はすぐさま崖の下へと逃げました。
後日、同僚たちにこの話をしたところ、皆は笑いながらも興味を示しました。「あれはただの釣り具か何かじゃないの?」と茶化す者もいれば、「話しかける勇気はなかったの?」と尋ねる者もいました。
しかし、彼が言うには、「それは黒い布に包まれていて、まるで宝物のように大事に扱われていた。夜の海に何かを託けているように見えた」とのことでした。彼はその瞬間、夜の海が抱える恐怖を実感したというのです。夜の海には、見えない闇が潜んでいるのだと。
彼の体験は、一見普通の夜の散策が、いかに危険な可能性を秘めているかを教えてくれました。実際、彼はそれ以来、夜の外出を控えるようになったのです。彼の周りの空気が一変したことを、誰もが感じていました。
その出来事が彼の心に深く刻まれ、夜の闇を恐れるようになったのです。
結局、闇を知らずに踏み込むことの危険性を、あの若手社員は学ぶことになったのでした。
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