これは、私が山で体験した話です。 ※何処の山で起きた話かは伏せておきます。 私は登山とか自然の中を歩いたりするのが好きで、よく山や森などに行っていました。ある時、夜の山で一晩過ごしてみようと決心し、キャンプツールなどを揃えて、山深くの場所まで行きました。 その夜、辺りは真っ暗で、空には満天の星が見えました。テントの近くで晩ご飯を作りながら、空を眺めていた時、近くで ガサガサ… という音がしました。動物かなにかだと思い、用心しながら、音がした方をじっと見つめました。熊だった場合、すぐにテントに入れるよう準備しながら…。 しかし、一向になにも出てきませんでした。風で草むらが揺れただけかと思った、その瞬間… ガサガサガサガサガサガサ… テントの周りの草むらが一斉に揺れだしたのです。その時、全くと言っていいほど、風は吹いていませんでした。 何かがおかしい。 とても不穏な感じがしました。 その時は、とにかく怖くてテントに逃げ込み、外の音に耳を澄ませていました。 テントに逃げ込んだ後も、音は止まず、ますます大きくなるばかりでした。ゴトンゴトンと木が当たるような音も聞こえ、まるで山全体が音を鳴らしているようでした。もう一度言いますが、この時、風は吹いていませんでした。木が揺れるほどの風ならば、テントも風で揺れるはずです。しかし、テントは全く揺れていませんでした。もちろん、地震でもありません。 怖くて震えている間に、気絶(いや、寝てしまったのかもしれません)していました。気づいた時には、もう朝でした。私は急いでテントを片付け、下山しました。後で、その山の近くの宿の人に「夜中に山の方から凄い音がしなかったか」と尋ねましたが、宿の人は、首を傾げるばかりでした。 文面では伝わりづらいかもしれませんが、本当に恐ろしかったです。山が自分を潰そうとしているのではないかと思うほど、凄まじい音でした。あれが一体、何だったのかは分かりません。しかし、今思えば、あれは何かの警告だったのではないかと思っています。私を守る為だったのか、それとも私へ何か忠告する為だったのか…。 そんな怖い目にあった今も、私は山や森などに足を運んでいます。そして、あの出来事を思い出しながら、あの出来事の答えを探しているのです。