
長編 emoji_events 殿堂入り
リアル 後編
しずく 2016年7月20日
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S先生はもっと近づくように言い、膝と膝を付け合わせるように座った。
俺の手を取り、暫くは何も言わず優しい顔で俺を見ていた。
俺は何故か悪さをして怒られるじゃないかと親の顔色を伺っていた子供の頃のような気持ちになっていた。
目の前の、敢えて書くが自分よりも小さくて明らかに力の弱いお婆ちゃんの威圧的でもなんでもない雰囲気に呑まれていた。
あんな人本当にいるんだな。
S先生「…どうしようかしらね」
俺「…」
S先生「Tちゃん、怖い?」
俺「…はい」
S先生「そうよねぇ。このままって訳には行かないわよねぇ」
俺「えっと…」
S先生「あぁ、いいの。こっちの話だから」
何がいいんだ!?
ちっともよかねーだろなんて気持ちが溢れて来て、耐えきれずついにブチ撒けた。
本当に人として未熟だなぁ、俺は。
俺「あの、俺どーなるんすか? もう早いとこ何とかして欲しいんです。大体何なんですか?何でアイツ俺に付きまとうんですか? もう勘弁してくれって感じですよ。S先生、何とかならないんですか?」
S先生「Tちゃ…」
俺「大体、俺別に悪いこと何もしてないっすよ!?確かに□□(心霊スポットね)には行ったけど俺だけじゃないし、何で俺だけこんな目に会わなきゃいけないんすか?鏡の前で△しちゃだめだってのも関係あるんですか?ホント訳わかんねぇ!!あーっ!苛つくぅぁー!!」
「ドォ~ドォルルシッテ」
「ドォ~ドォルル」「チルシッテ」
…何が何だか解らなかった。(ホントに訳解んないので取り敢えずそのまま書く)
「ドォ~。 シッテドォ~シッテ」
左耳に鸚鵡か鸚哥みたいな甲高くて抑揚の無い声が聞こえてきた。
それが「ドーシテ」と繰り返していると理解するまで少し時間がかかった。
俺はS先生の目を見ていたし、S先生は俺の目を見ていた。
ただ優しくかったS先生の顔は無表情になっているように見えた…。
左側の視界には何かいるってのは分かってた。 チラチラと見えちゃうからね。
よせば良いのに、左を向いてしまった。
首から生暖かい血が流れてるのを感じながら。
アイツが立ってた。
体をくの字に曲げて、俺の顔を覗き込んでいた。
くどいけど…訳が解らなかった。起きてることを認められなかった。
此処は寺なのに、目の前にはS先生がいるのに…何でなんで何で…。
一週間前に、見たまんまだった。
ア
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- これ1番好き匿名人間
- これ1番好き匿名人間
- これ1番好き匿名人間
- 最後の方怒涛の展開すぎてガチおもろ名無しさん
- コイツ糞弱かったなアリンコより弱かった俺の中にいるモノ
- 悪霊にはワクチン行き渡ってるで。ものもらい相続税
- こぉ言う悪霊にこそコロナウイルスに取り憑いて貰いたいものですなぁ(笑)殺したい
- 「アイツ」の正体ってなんだったのだろう。誰かの嫁さん?ゆーへー
- 物語としてちゃんと練られてるのがとてもよいなぁ。最後の告白を読むと、何でTが○○を責める記述が多いのか、なぜその後の話でも○○の登場頻度が高いのかがわかる。も
- 良くあるコピペですね。環七