
中編
びっこ婆さん
ゆうき 2020年9月10日
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私の地方では、片足を引きづってる事を
” びっこ ”と言います。方言でしょうね。
ある時から、びっこを引いたお婆さんが、夜道に出ると言う噂が広がりました。
その様子から「 びっこ婆さん 」と、呼ばれ、
怖がられていましたが、
皆は面白半分で、その話をしていました。
ある日、そんなにも仲良くもないA子に、
「 ちょっと、聞いて欲しい話があるんやけど」
と言われ、呼び出されました。
「 何や? 」
と聞くと、彼女は辺りを気にしながら
( あんたなら、分かるんやろ? )
と、小声で言われました。
分かるんやろ?って、、、と思いながらも、
何があったのか聞くと、
彼女は、家も学校から遠くないし、徒歩で通学してたそうです。彼女はバスケ部で、レギュラーに入る為に、毎晩、自主練習をして帰っていたらしいのです。
昨夜、いつものように自主練を終え、普通に帰宅していました。いつも慣れてる道です。
しかし彼女は、ふと、後ろから誰かが歩いてきてるな、と感じたそうです。別に誰かが後ろから歩いて来ててもおかしくはありません。
でも、何となく気持ち悪くて、早足で家に向かったそうです。
そうすると、後ろから、
「 びっこ、びっこ、
わしゃあ、早く歩けん、
びっこ、びっこ、、、」
と、聞こえてきたらしいのです。
もちろん、彼女はダッシュで家に帰ったそうです。
「 で、何でその話を私に?」
と聞きました。
「 わたしやって、分からんよぅ、
ただ Kちゃんに話さんといかんって、、、」
彼女は泣いていました。
私は、大丈夫やから、と言って彼女をなだめました。
小学生の頃に仲が良かった友達がいたんです。
その友達の家は、飲み屋街にありました。
ある日、ずっと気になってた事を聞いたんです。
「 ねぇ、この石の門って何や?
何でこんなとこにあるん? 」
すると友達は、
「 むかし、ここは、女の人のお店の場所で、
ここの門からしか、出入り出来んかったんやっ
て。それで、女の人が逃げんように、この門で
女の人を見張っとった、て言うか、
外に出れんようにしとったみたいねん。
でも、中には上手く逃げようとした女の人も
おったみたいで、、、。
だから、女の人の片方の足を、店の人がわざと
くじくんやって。逃げださんように。
おばあちゃんが言うとった。」
A子の話を聞いて、昔の話を思い出しました。
もしかしたら、びっこ婆さんは、足をくじかれた遊郭の女性だったのかもって。
小学生時代のその友達は、もう地元にはいませんし、たぶん、そういう忌まわしき過去を知っている人も少ないでしょう。
A子が私に話した事によって、
遊郭の女性が、誰かに、自分の無念を
思い出して欲しかったのかも知れません。
ただ、A子の
「 あんたなら、分かるんやろ? 」
と言う言葉が、今でも謎です。
後日談:
- 長文すみません。
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