
長編
祖母の家で見た怪異2
匿名 2024年8月18日
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先日、投稿した友人Kの体験談パート2です。
ぜひ「祖母の家で見た怪異」もご覧ください。
これは、私の友人であるKが体験した話です。
Kくんのおばあちゃんの家は大阪市内の淀川沿いにあるCという地域にあります。
淀川の下流ということもあってか、昔は船着き場に水死体が流れ着いたりすることもあり、水害・水難の多い地域だったようです。
前日譚から数年後のお盆、またKくんは祖母宅に泊まりに行くことになったそうです。
Kくん自身は兵庫県神戸市の北区に住んでおり、そこまで遠い距離でなかったこともあって、これまでの期間も頻繁に祖父母宅にも行っており、数年前の恐怖体験は記憶の彼方に消え去っていました。
お盆休みで家族で祖父母宅に遊びに行き、楽しい思い出を作った最後の夜にそれは起こりました。
その前日のプール遊びで風邪を引いてしまったKくんは、その日はほとんど一日出かけずに、寝て過ごしました。
祖父母宅はよくある昭和の家屋で、門を抜けて15歩ほどで玄関。
玄関はやや広めで廊下はT字になっています。
右(東側)に行くとすぐのところにすりガラスの引き戸があり、食堂・キッチン。
左(西側)に行くと廊下沿いに仏間→和室があり、一番奥に居間・リビングがあるんですね。
普段はゲームをするために、小さなテレビがある2階の父が使用していた部屋を占領して、そこで寝泊まりもしていましたが、その日は身体もしんどく、食堂に集まる家族が見に行きやすいところが良いだろうということで、仏間に布団を敷いてもらい寝ていました。
夜も更けて、祖母が「もう寝るからね」と声をかけに来ました。
足を悪くしていた祖母は、仏間の隣にある和室でいつも寝ています。
「わかった、おやすみぃ」と挨拶をして、Kくんは自分も寝ようと思いました。
目を瞑り、眠りに入ろうとしますが昼間からずっと寝ていたからか全然眠くありません。
「明日は家に帰る日だし、早く寝ないと」
とは思いますが余計目が冴えてしまう。
それでも「寝ないと」と目を瞑っていると、少しずつウトウトしてきました。
目を瞑っていると部屋の中の色んな音が気になるんですね。
外の庭で鳴いている虫の声、扇風機の音。
中でもカチコチという時計のような音が気になります。
「この部屋、時計なんかあったっけ?」
どうでも良い、些細なことなんですが、気になり始めるとどんどん気になります。
カチコチ、カチコチ、、、。
カチカチ、カチカチ、、、。
しまいにはカチカチ、カチカチという音に合わせて柱や襖がカタッ、カタッと振動している感覚さえします。
「ん?この音、時計か?」
「もっとハッキリ聞こえる気がする」
気になって仕方がないKくんは音の出処を探すように薄ら目を開けました。
この仏間は北に窓があるんですが、雨戸も閉めてしまっているので明かりはなく、部屋は真っ暗です。
「隣(西側)の和室の方から音が聞こえる気がする」
と思い、身体の向きを変えようとして、自分が金縛りにあっていることに気づきました!
「あれ、身体が動かない」
Kくんはこれまでも金縛りにあうことがあったり、心霊体験も何度かしていたので、冷静でした。
「またかぁ、風邪で疲れてたからかなぁ」
「やだなぁ」
金縛りに慣れているとはいえ、これまでも金縛りにあうと怖い体験をしていたので、やはり恐怖はあります。
首もろくに回らない中、目玉をぎょろりと動かして、部屋を見回します。
ひとまずのところ、特に異変はありません。
ただ、仏壇の方から音がする気がしてならないのです。
仏間は南側に廊下からの入口である襖、北側に窓、北西の角に東向きに仏壇があり、西側は隣の和室とを繋ぐ襖があります。
Kくんはこの時、東側の壁に沿うようにして布団を敷いて寝ていました。
「嫌だなぁ、なんだか気味が悪いなぁ」
とキョロキョロと目だけで音の出処を探します。
その間もずっと
カチコチ、カチコチ、、、。
カチカチ、カチカチカチ、、、 、、、。
と聞こえています。
「やっぱり、こんな所に時計なんて置いてないしなぁ」と金縛りの身体で下からゆっくりと仏壇を見上げていきます。
部屋の中は真っ暗闇ですが、それでも目が慣れてきたのか薄らとモノの輪郭を掴むことが出来ます。
「あ、あれが仏壇のカドだな」
それなりに背の高い仏壇です。
仏壇の扉も閉まっていますし、こんなところに時計があるはずもないので、確認に時間はかかりません。
見上げていくと奥の壁にある襖の欄間に視線が差し掛かりました。
カチコチ、カチコチ、、、。
カチカチカチ、カチカチ、、、 、、、。
気になる音に合わせてカタッ、カタッと振動しているのはどうやら襖のようです。
「欄間が震えてるのか?」
という考えが頭をよぎったその時!
自分の全身にブワーッと鳥肌が立つのを感じました!
とてつもないものを目にしてしまったのです!
襖の上、欄間のわずかな隙間に、
その隙間を押し広げるように両手をかけ、首を横にして、こちらに入り込もうとして歯をカチカチ鳴らしている青白いおじさんの顔と目が合ったのです。
「え、何?どういうこと?」
もう訳が分かりません。
隣の部屋には祖母が寝ているはず。
祖母に気づかれず部屋に入った?
というか、強盗とかなら襖から入れば良い話で欄間から入ろうとする意味なんてありません。
そもそも、欄間を広げるよう両手をかけ、顔をねじ込ませている状態で身体や両足はどうなっているのか?
ものの数秒で色んな考えが頭をよぎりましたが、そんなことはどうでも良い!
今、この瞬間も
カチカチカチ、カチカチカチカチ、、、
と歯を噛み合わせながら、目を見開いて、顔をねじ込ませ、こちらの部屋に侵入してこようとする顔があるんです。
真っ暗闇なのに、その青白い顔だけはしわの数、仙人か浮浪者のような白髪混じりの髭までハッキリと見ることができます。
「うわー、絶っ対人間じゃない!」
「また見てしまったァ!」
心の中でそう思い、目を瞑ろうとしましたが、恐怖からか目を閉じることができません。
少しずつ、少しずつ男の顔が前に出て、あごから首にかけてのラインが目に入ったあたりで
歯をカチカチと鳴らす合間あいまで「ぁあぁ~」「うぅ"う~」と何か声を発していることに気づきました。
「何もわかりません!」
「何もしてあげられません!」
心の中で必死に唱えながら
「入ってこないでください!」
「帰ってください!」
と願い続けます。
でも、そんな願いも儚くジワジワと確実に顔がこちらの部屋に入ってきています。
男の顔が完全に欄間からこちらの部屋に入り、横に向けていた顔をカクンッと縦にした瞬間!
ブワーーーッと青白い顔がKくん目掛けて飛びかかってきました!
この瞬間、Kくんは気を失ったそうです。
目を覚ますと朝になっており、和室との境の欄間はピッタリと閉まっていたそうです。
気になって、和室を見に行ったりもしましたがよじ登れるような箪笥も置いてありません。
祖母に話をしたところ、「怖い思いしたんやねぇ」と言いながら、こんなことを教えてくれました。
Kくんの祖父母宅の床下には埋め立てた井戸があるそうです。
昔は地域の人にも使ってもらえるように、と地元に開放していたそう。
井戸に人が落ちる事故や身投げなどもあり、しばらくして水道が通ったこともあって、埋め立ててしまった。
Kくんの祖父母宅はその上に建てられていたんですね。
「お盆だから、帰る場所のない霊魂が死に場所の井戸に還ろうとしてるんかも?」
こんな風に言われたそうです。
確かに、よく思い出してみると歯をカタカタ言わせながら、目を見開き、
「ぁあぁ~」「うぅ"う~」と言っていたあの顔は
「寒いぃ」「冷たい"ぃ」
と言っていたと思う。
と、Kくんは話していました。
後日談:
- この話をKくんから聞いた時、自分もブワーッと鳥肌がたちました。 Kくんシリーズ、他にもありますのでまたUPします!
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