
去年の秋の話です。
うちの祖父が亡くなって、母方の実家の静岡県で葬式がありました。自分はずっと東京で育ってたから正直あんまり土地勘がないです。新幹線で最寄り駅まで行って、叔父に車で迎えに来てもらいました。田んぼと山しかないところでした。
葬式は三日かけてやって、親戚一同がわいわい集まって、久しぶりに会う従兄弟とかと話したりして、悲しいんだけどどこかお祭りみたいな雰囲気もありました。祖父はもう八十七歳で大往生だったから、泣き崩れる人もあんまりいませんでした。
問題はその帰りの話です。
最終日の夜、片付けが終わって叔父の家に泊まることになりました。叔父は昔からビデオとか撮るのが好きな人で、今回の葬式もちゃんと記録として撮影してくれてました。「後でみんなに配るから」って言ってて、告別式の映像とかをノートパソコンで整理してるのを横で見てました。
そのとき叔父が「あ、これなんだろ」って言ったんです。
デスクトップにUSBメモリのアイコンが出てました。叔父が「ああ、こないだ職場の人に借りたやつかな」って言いながら開こうとしました。でも開けなくて、「パスワードかかってるな」とかぼやいてました。その日はそのまま寝ました。
翌朝、自分は電車で帰る予定だったんですが、朝早く目が覚めてしまって、リビングに降りたら叔父のノートパソコンがまだ開きっぱなしになっていました。叔父はまだ寝ていたので、勝手に触るのもどうかとは思いましたが、画面を見たらUSBメモリのフォルダが開いた状態になっていました。夜のうちに叔父が解除したまま寝落ちしたんだと思います。
好奇心に負けて、開いてしまいました。
中には映像ファイルが一個だけ入っていました。再生してみると、ガラケーで撮影した感じの画質の粗い葬式の映像でした。でも、うちの祭壇じゃないし、見覚えのない場所です。祭壇の感じも部屋の雰囲気も、うちとは全然違います。ファイルの詳細を見たら、更新日時が二〇〇七年になっていて、それも変だなとは思いました。
ただ、内容がどうにも腑に落ちませんでした。
最初は普通の葬式の映像に見えました。参列者が椅子に並んで座っていて、前のほうに祭壇がある。でも、カメラが一向に祭壇を映さないんです。ずっと、参列者の後頭部を映し続けています。
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