
私が小学生の時の友達に今では珍しい大家族の女の子がいました。
その子は三女で妹が四人か五人いると話していました。しかも、離婚したお母さんが同じくらい子どものいる人と再婚したらしく、その友達もどの子が自分の妹なのか、よくわかっていない感じでした。
「自分の妹なのにわからないの?」
さすがに驚いて私が訊ねると、最近再婚したばかりだし、家も自宅とは別に親戚の家でも生活しているから、会わない相手の妹たちはうろ覚えだと言っていました。
私みたいに姉が一人しかいない人間からすると、信じられない家庭環境でした。
そんな友達と放課後の校庭で鬼ごっこをしていたところ、一年生くらいの小さな女の子が、校庭のすみでこちらを見るようにしながら、待っているのに気がつきました。
私は見たことがない子だったので、他の友達にも訊ねてみたのですが、誰も知らないと言っていました。
ただ、大家族の友達は「もしかしたら、再婚相手のほうの妹かもしれない」と言いだしたので確認したところ、はっきりとうなずいてきました。
そんなわけで、みんなで帰る時にその子も一緒に帰ったのですが、その子は親戚の家に住んでいるみたいで、その子と私だけが他の子たちとは違う道から、帰ることになりました。
元々人通りの少ない道なのと、雨も降っていたこともあり、帰り道はその子と私だけしか歩いていませんでした。
私はどちらかというと内気な性格なので、あまり自分からは話しかけないのですが、さすがにずっと無言なのもおかしいと思い、隣を歩く女の子に話しかけていました。
ただ、その子からはまったく返事はなく、名前を訊ねても教えてくれませんでした。
何を考えているのだろう?
そんなふうに気にはなったのですが、さしている赤い傘が邪魔で表情は見えません。
仕方なく無言のまま歩いていました。
ちょうど橋の中間でした。
突然、その子が立ち止まったんです。
どうして立ち止まったのかわからなかったのですが、その子は無言のまま立ち止まり、雨で水位の上がった川を眺めていました。
その橋は古い石造りの橋で、柵などもなく、近所で危ない橋として有名でした。
なので私もその子が落ちてしまうのではないかと、心配して声をかけたりしたのですが、相変わらず返事はありません。
でも、ずっとそこで川を見ているわけにもいかないので、「悪いけど、私は先に帰っちゃうよ? 気をつけて帰ってね?」と言って歩き始めました。
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