
長編
某オンラインゲーム
匿名 2016年6月8日
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数年前に俺は某オンラインゲームにハマっていた。
比較的人口が高く、月額料金が必要だった為かプレイヤーの質も高い。
毎晩睡眠を削ってはゲームに没頭し、今思えば少し狂っていたかもしれない。
そして俺には1人のフレンドがいた。
仮にAと呼ぶとしよう。
Aと決まって深夜3時頃からログインし、仕事が深夜終わりの俺にとってはよく時間の合うプレイヤーだった。
キャラのレベルも近かった為か、次第に仲良くなり一緒にクエストに行く機会も多かった。
連日深夜、
どちらかが眠くなるまでひたすらクエストだったが、不思議とAとプレイしていると現実を忘れられゲームに没頭する事ができたのだ。
Aは時々不自然な行動(空白のチャットや俺の個人情報を聞いてくる)があったが、もはやベストパートナーと呼べるほどに仲が縮まっていたので、俺はなんの疑いもなく名前や歳などを言ってしまった。
今思うとこれが大きな間違いだったんだ。
ある日、
A「明日はログインできない」
俺「お、珍しいな。 用事?」
いつも俺たちがプレイしている時間帯は深夜2時〜からなので、その時は飲み会でもあって遅くなるのかなーとなんて思ってたりしていた。
俺「まあでも俺はやってるからいつでも誘って」
A「迎えにいくよ」
俺「ん?? でも無理せんでいいからな」
不自然なチャットを残し、Aは突然姿を消した。
その日からAはゲームに姿を見せる事はなかった。
同時に、俺はよく金縛りに悩まされていた。
疲れがたまっているのか?
なんて最初は軽いことを考えていたのだが、
次第には悪夢を見るようになり、
黒い女に腕を引っ張られる夢や、Aがズタズタに顔をナイフで裂かれる夢(なぜかその人物がAだという事が分かった)など。
Aが突然と姿を消してから金縛りやAが殺される夢に黒い女...
正直本当に気持ち悪かった。
そして夢の終わりには決まって黒い女が
「迎えにいくよ」ニタァ
なんてAが最後に言った言葉を不気味な顔で言うもんだから、Aはもしかして霊なのでは?と思ってゲームを速攻アンインストールした。
その日から俺は金縛りや悪夢にうなされる事は無くなった。
時は流れ、
俺はAの事や、あの不気味な事をすっかり忘れていた。
暇つぶしに新しいオンラインゲームを探していた所、俺がやっていたオンラインゲームが大規模アップデートと大きく宣伝していたのだ。
一瞬黒い女が頭をよぎったが、過去の事。
今思うとアホくさいなんて馬鹿なこと考えながらインストールした。
前のキャラは残っていたので「懐かしいなー」なんて思いながら街を歩いていると、
「ピンポーン」
「ピンポーン」
「ピンポーン」
「ピンポーン」
突然のインターホン連打。
俺「は?誰だよこんな深夜に」
俺はイライラしつつインターホンの画面を確認し、俺は驚愕した。
そこには顔がズタズタに引き裂かれた黒い女が写っていたのだ。
俺「う、うわあああああああああ!!」
思わず後ずさりし、今まで感じたことのない恐怖に包まれた。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
なんだよあれ!?
人間じゃねぇよ!
パニックになりつつも部屋中に響き渡るインターホンのチャイムを耳で塞いだ。
俺は確信した。
アイツはAだ。
悪夢にでてきた黒い女だったのだ。
このままだと間違いなく殺される。
俺はとっさにパソコンにダッシュで走った。
ゲームをアンインストールしないとヤバい。
間違いなくAに呪われている。
恐怖でパニックになっていたが、自然と俺は動けた。
ガタガタと震える手を抑えつつ、俺はアンインストール画面に進んだ。
1%...10%...
徐々にゲージが動いていく。
それに連動するかの様にチャイムの音は激しくなっていく。
「早く!!!!早くしろ!!!」
85%...91%...
後少し...の所で俺は絶望した。
微かにパソコンの画面に...
黒い女が不気味な顔でニタニタと笑っている。
俺は振り向く事ができなかった。
体が石のように固い。
俺「え、A...か?」
「迎えにきたよ」ニタァ
画面に映る黒い女はニヤニヤと俺に手を伸ばした。
「ぐっ...!」
かすれる意識の中、俺はこのゲームをインストールした事を酷く後悔した。
不気味な笑いとともに
黒い女の手が俺の首を強く締め付ける。
「もうだめだ...」
本当に死を覚悟した。
逃げられない...
「だ、誰かたす...け」
その時、
【ゲームが削除されました】
間一髪の所でゲームは削除されたのだ。
何もかも全て吹き飛ぶような感覚とともに体の力が抜け、俺は気を失った。
朝、携帯のアラームが鳴っている。
目を覚ました起き上がると体のあちこちが痛む。
俺はハッと後ろを振り向くと、
黒い女はもういなかった。
残っているのは俺の首に黒い血がべっとりと付いた跡だけだった。
あの時、
ゲームを消してなければ俺は助かって無かっただろう。
今頃ゲームの中でAと次の相手を探していたのだろうか。
俺は今でもチャイムの音が鳴るとAの思い出す。
すぐ後ろにAがいるようでたまらなく恐ろしいのだ。
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