
長編
コピペ ピチガイオカン
匿名 2016年9月21日
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自分の記憶と兄から聞いた話、それに友達からの情報、
それらを元にした話なので、真実とは言い切れないが…。
始まりは、俺が小学校低学年の頃まで遡る
当時、神戸市垂水区にあった(今も在るかはわからない)
公務員宿舎に、俺の家族は住んでいた
外観は古いタイプの団地という感じで、全部で十棟くらいあったと思う
一つの棟には三つ階段があって 五階建て。
うちは五号棟の真ん中の階段の五階だった
話の中心となる家族が住んでいたのは、
向かって右側の階段の四階、号室までは覚えていない。
そこは両親と一人っ子の長男の三人家族
父親は公務員で母親は専業主婦、長男は浪人生
この母親と長男の関係が、最初の悲劇を生んだ。
母親はかなりの教育ママで、自分の息子には
自分が望む志望大学に入学してもらいたかったらしく
半ば強制的に息子に勉強をさせていた。
何度目かの受験失敗の後、浪人生の長男は
母親からのプレッシャーと受験失敗を苦にして、
団地の四階、勉強部屋の窓から飛び降りて自殺した
結構大きな騒ぎになったらしいが、俺はあまり覚えていない。
教育バカママはその一件にショックを受け、
精神的に追いつめられておかしくなってしまった
夜中に突然散歩に出かけたり、外で会った人に
「あなたの後ろに羽の生えた人が見える」なんて言ったり、
団地の住人達にかなりの恐怖を与えていた。
実際にウチの兄貴は、そのバカママ改め
ピチガイオカンに訳のわからないことを言われたらしい
他にも聞いた話では、死んだ息子の部屋の窓を必ず開放していて、
「閉めると息子が帰ってこれなくなる」なんて言っていたとか。
だんだん症状は酷くなって行き
部屋中に何処からか持ってきたお札を張りまくって、
「あいつらが、息子が帰ってくるのを邪魔している」と
夜中にわめき散らしたり、 寝巻きのまま外に出たり、
相変わらずの「あなたの後ろに羽の生えた人が見える」発言など。
この辺りの事は俺も当時、団地で話題になったのを覚えている
それで旦那が困り果てて、色んな人
(カウンセラーから宗教関係者、心霊系まで)に
相談したものの、 良い結果は得られなかった。
偶然にもその家族の向かいには、某宗教団体に属する家族が住んでいた
ある日、相談を受けた そこの父親がピチガイオカンを訪問して
彼女の前でお祈りをすると、 急にピチガイオカンの声色が変わって
その父親を罵ったり、手がつけられないほどに暴れたりと、
エクソシスト張りのことがあった…そんな噂も団地に広まった。
家庭の事情で俺の家族が引っ越すことになってしまい、
その後の経過を見ることなく、その一件は記憶の彼方に追いやられることになる
うちの家族は何度か引越しを繰り返して、二年後、また神戸に帰ってきた
しかし、例の公務員宿舎ではなく、少し離れた学区も違うところ
それに、その頃はすっかりその家族のことなんて忘れている
神戸に戻ってから四,五年経ったころ、
俺が高校生になるかならないくらいの時、母親の友人がうちを訪れた
その人は公務員宿舎に住んでいた時からの友人で、
神戸に戻ってきてから時折、母に会いにうちに来ていた
その日もくだらない世間話をしていたが、俺が挨拶をしに顔を出すと、
「そういえば、覚えてる?」と、あの家族の話を始めた
ピチガイオカンは一向に良くならず、結局
旦那はピチガイを連れて田舎に引っ越すことになった。
そこで旦那がピチガイの面倒を見ながら、遠くの会社まで通勤。
しかし、この旦那もかなりの年齢、寄る年波には勝てないのと、
ピチガイの面倒、長い通勤時間等がたたり、体調を崩してしまった
それで早めに退職し、そのまま田舎でピチガイの面倒を見ることに。
旦那が退職してしばらく経ったころ、近所の人が妙なことに気付く
夫婦の姿を最近見かけない。
奥さんがピチガイなのはわかっていたし、旦那が最近退職したのも皆知っている
旦那の方はよく買い物なんかに出かけていたが、このところ全然姿を見かけない
おかしいとは思いつつも、家庭の事情が事情なだけに、
家を訪ねてどうなっているのかを確かめたりはしなかった
それから何週間か経っても未だ、夫婦の姿を見かけなかった
さすがにこれは、本当におかしい…と思い始めた近所の人達。
近所といっても田舎で、家と家の間は離れており
具体的な家の状況などはわからなかったので、
警察に事情を話し、一緒に様子を見に行くことになった
鍵はかかっておらず、戸を開けるとその瞬間に
異臭が漂ってきた。明らかに何かが腐った匂い…
警察官と近所の人が中に入っていくと、
寝室と思われる部屋に座る人影が見える
敷かれた布団を前にピチガイ奥さんが正座している
激しい腐臭は明らかにその部屋から漂ってきている
その部屋に入っていくと、ピチガイ奥さんの前に敷かれた布団の上に、変わり果てた旦那の姿があった。
死後からかなりの時間が経っている様子。
ピチガイの奥さんは、その前でじっと座っていた
捜査の結果によると 旦那は他殺ではなく、体調を崩しそのまま病死したらしい
ただひとつ気になるのは、家には食料といえるものは一切なくなっており、
近所の人は誰一人、ピチガイ奥さんが買い物に行ったところを見ていない。
旦那が死んでから何週間ものあいだ、
ピチガイはなにを食べていたのだろうか。
彼女の目の前に在ったのは……
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