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コテージ
長編

コテージ

匿名 2017年5月23日
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あれは私が中学2年生の夏休みの頃です。 親戚と私の家族で旅行に行くことになりました。 親戚は10人、私の家族は私と両親と妹2人、それとばあちゃんでした。   私は怖い話が好きだったので、親戚の男の子(小学5年生(以下Kとします))に「もしも宿に幽霊が出たらどうする?」みたいな話をして、勝手に盛り上がっていました。 Kの叔母に「そういう話はしないで」と厳しい口調で叱られたのを鮮明に覚えています。 今から思えば、彼女にはこうなることがわかっていたのかもしれません。   駐車場から、木々に囲まれた道を歩き、木造のコテージに着きました。   二階建てで、一階はキッチンとダイニングがあり、20人くらいで食事を囲めそうな大きな四角い木のテーブルがあったのを記憶しています。 イスもテーブルの大きさに合う数が用意されていました。 二階には寝室があり、親戚の部屋と私たちの家族の部屋がありました。着いてすぐには分からなかったのですが、一階にも寝室があり、ばあちゃんたちは階段を使わなくてもいいようにそっちで寝ていたみたいです。   私はこのコテージに着いた時から、変な空気を感じていました。 言葉にするのが難しいのですが、木で作られた温かみのある雰囲気なのに、肌を刺すような寒気がする空気感といいますか、違和感があったのです。   ただ、私は2泊3日の旅行なのに、部活の大会があるため1泊で帰らなければならず、とにかくこの旅行をみんなより楽しみたい気持ちが強かったので、違和感のことは忘れた気になっていました。   宿に着いてすぐにKと近くにあるテニスコートで遊んだり、家族みんなでコテージの一階にある木のテーブルでUNOをしたり、夜は満天の星空の下バーベキューを満喫したりと、その日は大いに遊びつくしました。   私はその日の夜、親たちが一階で呑んだくれているのをよそに、Kと妹2人と一緒に二階の寝室に行き、床に就こうとしていました。 私「今日は楽しかった。俺は明日帰るけど、旅行の思い出話、帰ったら聞かせてね。」 K「そーいえばY(私)、明日で帰るんだっけ。また旅行しような。」 私「ああ、楽しみにしてる。てか、ここ二階だけど、窓の外からなんか見えたりして(笑)」 K「やめろよ。眠れなくなるだろ(笑)」 と、私たちが冗談で言っている時 妹2人はキャーとかやめてーとか言いながら、毛布をかぶっていました。   私はお調子者なので、「ほら!女の子の霊が窓の外から!」なんて脅かしていたのです。 怖がらせる発言だけして、怖がる妹2人とKをよそに、私は1人真っ先に寝ました。 そして夜中、私はバタバタと階段を駆け上がる音で目が覚めました。   (なんだ、今頃飲み終わったのか…) と、親たちに呆れながら襖を開けたのですが、特に誰もいませんでした。 (階段を登ったんじゃなくて降りたんだな) と思い、私は襖を閉めて自分の布団に戻りました。 妹が起きていて、「今足音聞こえたよね」と言うので、私も「聞こえた。うるさくて起きちゃった。」と答えたのですが。 妹「さっきからずっと聞こえてるの。バタバタ駆け上がったり、降りたり…いい加減にして欲しいよね」 と言うのです。 おかしいんですよ。 下に人がいるなら、襖を開けた時に下からの明かりも見えるはずなのです。 それが見えないし、何より下から人の気配がしないのです。   怖くなった私は、隣の部屋にいる親戚の家族と、部屋に戻ってきている親の姿を確認しました。 確かに、みんないました。 いないのはばあちゃんたち。 (まさかばあちゃんが階段を駆け上がったりはしないし…)   怖い話が好きなくせにとんでもなく小心者の私は、母親の布団で母親と一緒に寝ました。 不思議なもので、母親の布団に入ってからはすぐに眠ることができました。 そして夜が明けました。 (昨日のはなんだったんだろう…) そう思いながらも、怖くて何も言い出せず、ついに帰る時間になってしまいました。 Kの親「Yが帰る前に集合写真撮るよー」 と、集合写真を撮ることになりました。 撮り終えて、私はすぐに帰りました。 ここからは、全て旅行の後の話になります。 旅行後、Kと妹の表情が暗かったので思い出話しを聞かせてと話を振ってみたのですが、私が帰ってから奇妙な出来事が起きたようなのです。 2日目の夜、寝室の窓の外に赤い服を着た女の子が見えたと口を揃えて言うのです。 二階で、ましてやあの離れにあるコテージに、そんな子がいるわけありません。 そして2日目に撮った集合写真を現像してみると、Kの叔母の足が無くなっているのです。 私には、それがまるで窓の外に見えた女の子が足を取ったように感じられました。 あの足音は、足を取る予兆のようなものだったのでしょうか。 そして親戚の一人で霊感の強いおばあちゃんがいるのですが、その方にKの叔母の足が消えた写真を見せると、すぐにお祓いに出すよう言われたようなのです。 あれから10年たったいまも、その叔母の足は何不自由なく動いています。 そして、私も普通に暮らしています。 お祓いは成功したのでしょう。 あのコテージの名前も今となっては思い出せませんが、とても怖い思い出だったので、ここに書かせていただきました。

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