
長編
海につづく道
匿名 3日前
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て初めてぞっ、となった。
漁船が川に浮かんでいる。暗くてもさっきとはまた違う港がウインドウ越しに見えた。船の数は先程の港より少なく全体的に寂れた雰囲気だった。だか私を怯えさせたのは港の背景にある山の影だった。このまま行けば確実に山間部に入ってしまう。
「なんで…」隣の彼女が思わず口にした。私も、ここはどこなんだ?川を下って何故また山に出る?そもそもさっきの港といい河口でもないのにこんなに船が停まっているものなのか?それまで気にしていなかった事まで頭に浮び、余計に不安になった。
それでもこんな馬鹿なことは無いと暫くは車を進めたが、私も彼女もこの先に海は無いと確信し、車を停めた。
この時点で彼女はかなり怯えており、正直私も相当怖くなっていた。さっき折り返した先がやっぱり海か?と二人で話し合ったが、お互い否定。
なら逆に向かったのになぜ海が無い?と考えるが分かるはずもない。可能性としては川が東西に曲がる中流で右往左往しているならそれもあり得るが、私達が走った距離や時間を考えると、この辺りにそれほど長く蛇行する川は無いはずだった。
陽もほとんど残っておらず、住んでいる街から距離があるとはいえ、地元で自分の居る場所が分からなくなるという怖さが増す中、とにかく灯りもないこの小さな港を離れようと、来た方向へ再び引き返した。
そこからは少しでも早くこの川沿いの道から抜け出すことばかり考えていた。川幅からは不釣合いに細く寂れた道が不気味に思えて来た。自分達が何処を走っているのかわからない焦りのせいか、この川沿いの道から出られないんじゃないかという説明のつかない恐ろしさまで襲ってきた。
最悪の場合、行きに来た道程をそのまま戻る覚悟で最初に右折してきた道を探した。もし見つからなかったらどうしようという思いも頭に浮かびもした。
道は見つかった。暫く戻って道路標識を確認出来たところで海沿いの県道に戻れた。
ずっと無言だった彼女が「ほんまに帰れんようなるかと思った…」とつぶやき、私も答えた。「俺もホンマに怖かった。こんなところで海を見失うか?わけ分からん」
そこから先は普通に帰宅することが出来たが、彼女の家で地図を広げ、どこを走ったのかを探してみても、海と山を間違えそうな川も、港がありそうな川沿いの道も見つけられなかった。
恐らくは我々の勘違いで、怖くもなんともない話だと思います。地図やカーナビでもあれば
この怖い話はどうでしたか?
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- 確かに こうゆう時 心ぼそい怖いです 1人じゃなく良かったですねまゆ
- ナビねぇ〜…昔それで色々あって少しトラウマです。だから使ってない雪うさぎ
- ナビつけろよう
- 自分も、よく道間違える!!!!だから、めっちゃ気持ち分かる(´༎ຶོρ༎ຶོ`)死んじゃうのではないかと…(´・Д・)」
- 俺も道に迷っただけだと思うが、その状況は確かに怖いわ。場所が分かれば川を特定して安心したい。青朱白玄
- カーナビ位積んどけよ。らいと
- 時間が経って読み直すとやはり気になる処があったので修正、加筆しました。記憶も曖昧なのでこれ以上手を加えると体験から離れていきそうなのでここで止めておきます。もう一度行って確かめたいという気持ちはありますね〜。kayaro
- 今なら行って確かめられそう。100円ゴースト
- 確かに迷子の話ではあるけど、心細さや、不安感が伝わってきた。ギョロちゃん
- 迷子になって怖かったってここで話されてもねぇ。魔除