
僕は廃病院での警備のアルバイトを始めたばかりで、先輩の佐藤さんと一緒に仕事をすることになった。彼女は静かで優しいが、少し神経質なところがあった。警備のルールでは、新人はしばらく先輩とペアを組んで行動する決まりだ。深夜の2時を過ぎると、僕たちは休憩室に入った。簡単な飲み物とお菓子を手に取り、薄暗いテレビを点けた。映し出されたのは、心霊特集の番組。
「あの時、私は本当に怖い体験をしたことがあるの」と佐藤さんが言った。彼女は大学時代、友人と一緒に廃墟探検に行った時の話を始めた。彼女たちは、かつての病院の跡地を訪れたという。
その病院は、地方の山奥にひっそりと残っていた。佐藤さんたちは、悪ふざけでその病院の中に入ることにした。周囲は暗く、懐中電灯の光だけが頼りだった。彼女は当時の恐怖を鮮明に思い出すように語った。
「廃病院の中は静まり返っていて、ただ私たちの足音だけが響いていた。友人たちと3人でそれぞれの懐中電灯を持って探検を始めたの。」
奥に進むにつれ、異様な気配を感じたという。彼女は、廊下の壁にかかっていた人形のような物に目を奪われた。
「人形がいくつも壁に打ち付けられていたの。心霊スポットだと聞いたことがあったから、その時は冷や汗が流れた。」
その瞬間、何かの声が彼女の耳元で聞こえた気がした。驚いて振り返ると、暗闇の中から人影が近づいてくるのが見えた。
「それは白い服を着た女性で、手には何かを持っていたの。恐怖で動けなくなった私は、ただその場に立ち尽くしていた。」
その影は近づいてきて、金づちのような物を振りかざしていた。佐藤さんは思わず叫び声を上げた。すると、友人たちが駆け寄ってきた。
「みんな、ここに来て!何かいる!」と叫ぶと、彼らはその方向を照らし、驚愕した。
「しかし、その時にはもう影は消えてしまっていた。私たちが見たのは幻だったのかもしれない。」
彼女はその時の恐怖を語り終え、胸元から小さな袋を取り出した。
「これが、その時のものなの」と言って見せたのは、古びた藁人形だった。「自分への戒めに、いつも持っているの。」
僕はその藁人形を見て、背筋が寒くなった。心の奥に潜む恐怖が、再び蘇ってくるようだった。
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