
長編
小5の思い出
きき 3日前
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グに酷似した石像(半ば朽ちていて性別すら不明)が鎮座しているため、昼間でも通りたくないような嫌な場所だった。
加えてうちの学校は、墓地を移設した跡に建てられているというまことしやかな噂があり、肝試しにはうってつけのロケーションでもあった。
とはいうものの俺も5年生である。
特に男子はキャーキャー言う女子を尻目に、早く花火やりてえなあとか思ってた。
そんな中、俺はふと思いついた計画の為、悪友二人(直人と繁)を呼んだ。
「なあ、幽霊いたって嘘つかねえ?」
というのもクラスに一人霊感少女気取りの女子(陽子)がいて、普段からコックリさんだの、黒魔術だのと女子を集めては行っていて大変うっとうしかったのだ。
計画はこうだ。
まず先に行く直人がペアの女子にそれとなく幽霊のことを話す。
次に行く俺がもう少し詳しく幽霊の容姿をペアである陽子に話す。
最後の繁が大袈裟に「幽霊だー!」と騒ぎながら戻ってくる。
皆が怖がって騒ぎ立てるなか、陽子が乗ってきて「見た」とか「いた」などと言えば、
「嘘だよー。バーカ!」
とネタばらしをしてやろうと。
所詮小5が考えた計画なので突っ込みどころ満載だが、俺なりにせめて信憑性を増そうと幽霊の容姿について詳細を詰めることにした。
最初の案は「おかっぱ頭で赤いスカートの女の子」だったが、どう見ても「ちびまる子ちゃん」であり「トイレの花子さん」のイメージそのものだったので却下。
あまりに安易だ。
次の案は「紺色のワンピースにおさげの女の子」。
これも「ラピュタのシータ」の匂いがしたが、ちびまる子よりはマシだろうということになり、
結局「黒いワンピースにおさげの女の子」のイメージでいくことに決まった。
お互いが「幽霊のイメージ」を共有した後、いつまでも一緒に居ては口裏合わせをしたことがバレるのでそれからは3人とも不自然なくらい離れて順番を待つことにした。
直人の番だ。
それとなくアイコンタクトをし、直人ペアを見送る。
5分後、何事もなかったように戻って来る直人たち。ちゃんとやったのかあいつ。
後で聞くと、予想以上に怖かったらしく全然仄めかすことすら出来なかったらしい。ヘタレめ。
次は俺と陽子ペア。
見てろよ陽子。お前がエセ霊感少女だということを白日の下にさらしてやる。(夜だけど)
ぐるっと外周を回る。
裏庭はやっぱり不気味だ。陽子も霊感少女のくせに怖いのか、幽霊の「ゆ」の
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- 怖かったし小説を読むように刺激的でした。文才あるんですね。 しかも、こんな事って現実にあるんですね。K
- こんなに細かく昔のことを思い出せるのがすごいなぁって思いました。すみません。
- 結構おもしろかったlalala
- 伊之助さん「えきょう」