
長編
借家に住んでいた時の話
匿名 3日前
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と母がアパートに住み始めた翌日、借家の台所の床に、あの着物がまるで人が大の字で寝ているかのように置いてあった。
俺は頭にきて、その着物をハサミで切り付けた。
しかし生地が厚く、しっかり切れなかったので、なんとか切れ込みを入れて力づくで引き裂き、本当はダメだけど、庭で燃やした。
燃え尽きる前に出勤の時間になってしまったので、水をかけてそのまま借家を出た。
帰ったら、あの着物がお前たちが使っていた部屋の電気の紐に、ハンガーに掛かった状態で括りつけてあった。
言葉が出なかったが、今度は包丁を使って着物を切り裂き、今度こそ燃やし尽くした。
燃やし尽くしたと思っていた。
夜、床を這うような音がして目を覚ますと、あの着物が壁に張り付き、胸元あたりから女の顔がこちらを覗いていた。
起き上がろうと思ったが金縛りのように身体が動かず、ひたすらその女と目が合った状態で時間が過ぎていった。
気付くと朝になっていた。
それから毎日、夜中に床を這う音が聞こえ、壁に張り付いた着物の胸元から女が覗いてくる。
それは最初は顔だけだったが、首、肩、上半身と、だんだん身体全体が見えてきている。
昨日はもう全身が見え、その姿はヘドロに塗れたように汚く、寝ている俺の布団に向かって片足を出してきた。
あれがあの着物から完全に出てしまったら、取り返しのつかないことが起こりそうで怖い。
私と母は唖然として、借金してでもあの家を出ようと言いました。
母は、働き出そうとしていたところだし、パートでもバイトでもなんだってするから、命には代えられない、大家さんには申し訳ないけど、違約金がどれだけかかろうと、わたしが家族を守る!と号泣していました。
私も泣きながら、家族がいなくなっちゃうのは嫌だ、私ももうゲーム欲しいとか言わないから、あの家には戻らないで!と言いました。
父は、俺は愛されてるなぁとにっこり笑いながら、私を抱き寄せてくれました。
それからすぐ大家さんに連絡をして、引っ越し業者を呼び、早々に別のアパートにうつりました。
大家さんは残念がっていたそうですが、父が正直に着物の話をしました。
大家さんはそうですか… と言って、それ以上は何も言わなかったそうです。
もしかしたら、と言うか持ち主の大家さんが知らないわけないんじゃないの?と母は父に言いましたが、これ以上は知りたくないし関わりたくない、と温厚な父がとても怒っていました。
あの着物が何だったのか
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- 大家さんひどいなぁ!おわ
- 怖すぎ 大家さん絶対何か知ってるでしょ 逆にお金払ってほしいくらいだねにゃんころちゅ
- これは怖いです!!うんこりん
- 面白かったです。 その借家は今住人いるのかな。匿名
- 面白かったです。 その借家は今住人いるのかな。匿名