
中編
絶対に許さない…
匿名 2日前
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(このストーリーの閲覧は自己責任です。閲覧注意です。)
わが家に帰ると、靴が並んでいた。
息子の優太が、今日も早く帰っている。学年初め、中学に上がった息子は得意気に制服を着こなし、大きな希望を胸に家を出たものだった。しかし最近、なにか様子がおかしい。話しかけても素っ気なく、すぐに自分の部屋へ引っ込んでしまう。
私が台所で夕食の支度をしていると、電話が鳴った。
「もしもし、小田原です」
「あ、小田原さん。江藤先生です。お忙しいところ申し訳ありませんが、明日、学校に来ていただけませんか」
江藤先生は優太の担任だ。声に緊張が混じっている。
「何かあったのでしょうか」
「お電話ではお話しにくいことがありまして…」
翌日、私は学校へ向かった。応接室には江藤先生の他に、学年主任の森先生もいた。
「実は、優太君のことで…」
話は単純明快だった。わが息子は障害のある同級生を執拗にいじめていたのだ。車椅子の移動を邪魔したり、言葉で嘲ったりと、あまりにも残酷な内容に、私は言葉を失った。
「被害者の親御さんは大変お怒りで…」
帰宅すると、優太は既に帰っていた。リビングのソファでだらりと携帯を見ている。
「先生から電話があったよ」
優太は少し顔を強ばらせたが、すぐにそっぽを向いた。
「お前、何をしたんだ」
「なにもしてないよ」
「車椅子の子をいじめたって本当か」
「ちょっとからかっただけだよ。みんなやってるし」
「みんながやってるから、お前もするのか!」
私は怒りに震えた。こんな子に育てた覚えはない。
「お前、本当に…」
思わず手が出そうになった。優太は私の形相に恐れをなし、震え始めた。
「わ、悪かったよ…」
「悪かったじゃすまないだろう!」
優太の顔が歪んだ。悪臭が部屋に充満した。息子はブツを撒き散らした。
「ぶちりゅう〜〜」
息子はただ恐怖に怯え、粗相をしたまま立ち尽くしていた。
「お、おい…」
私も声を和らげた。激昂するあまり、まるで幼児のように漏らしてしまった息子を前に、どう対応すればいいのか分からなかった。
「お風呂に入れ。着替えろ」
優太は項垂れたまま、風呂場へと向かった。後ろ姿は、中学生とは思えないほど小さく見えた。
次の日、私は焼き菓子を詰め合わせた折箱を持って、被害者の家を訪ねた。優太も無言で連れ立った。
玄関先で深く頭を下げる。
「誠に申し訳ありませんでした
後日談:
- 過去は消えません。
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