
中編
先輩が私の首を狙う理由
kuna 2016年3月8日
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中学校に通っている私には、Aちゃんという友達がいた。Aちゃんは、気が強くて、真面目で、優しくて、いつも私を守ってくれていた。
一方私は、いつも大人しい性格で、意思表示が上手く出来なくて、先輩や同級生にも良いように使われていました。
当時、私はバレー部に入っていました。
友達に薦められ入ったのですが、周りよりトロくて運動神経の悪い私は、なかなかうまくなりませんでした。
何ヶ月かたって、ようやくみんなについていけるようになったので、最初はとても嬉しかったのです。
―――でも、私は薄々気づいていました。
サーブ練習の時、ネットの向こう側にいる先輩達が、私にむかってサーブを打ってくるのです。私は顔にいくつものボールがあたり、泣きそうにもなりました。
同級生にも、仕事を押し付けられたり、体育倉庫に閉じ込められたりして、私は耐えられなくなり、母親に相談しました。
私「お母さん、バレー部、やめたい…」
母「急にどうしたん?」
私「毎日、毎日、顔にボール当てられるし、仕事も押し付けられて、閉じ込められたりするし…」
私はすべてを母親に話し、バレー部を退部しました。
すると、その時私を体育倉庫に閉じ込めてきた先輩が、暴力をふるってくるんです。
廊下で会った時になんの前触れもなくお腹をグーで殴られたり、首を急に掴まれてすごい力で締め付けられたり…。(一瞬息が止まりました)
ですが、その時にいつも助けてくれたのが、Aちゃんと、Mともう一人、A(A2と呼びます)がいつも助けてくれたのです。
その一部です。
その日は、卒業式の練習日でした。
練習の前、体育館の下駄箱前に全校がバラバラになって喋ったりしていた時です。
私は、Aちゃん、M、A2と一緒に喋っていました。
すると、突然後ろから首をガッと掴まれました。
私「!?!?」
私がびっくりしていると、うしろから声が聞こえてきました。
先輩「よー、○○(私の名前)これ痛いか?」
ものすごい力でした。
私「…っ…先輩っ…痛い、やめて」
先輩「ふーん、じゃあこれは?」
先輩はさらに力を強めてきます。首がへし折れそうでした。
私「うっ……痛い、痛い!…離してっ…!!」
私は涙目になりながら言いました。
Aちゃん「やめなよっ!」
A2「涙目になっとるやん!」
M「痛がっとるやんか!」
三人がそう言ってくれて、先輩はすっと手を離してくれました。
私「………………………」
しばらく声が出ませんでした。いえ、出せませんでした。
私は首を押さえて、なでてみると、後ろの方に赤いあざがついていました。
それから、歌を歌うたびに喉に激しい痛みを感じるようになりました。
先輩はやたらと私の首を触りたがり、いつも首を突然掴んできます。
今は、インフルエンザになりましたが、とても喉がいたいです。
喉というより、首そのものがいたいです。
今でも、首の後ろには先輩に掴まれた時の痛みが残っているような気がします。
あのあざも。
目には見えないけど、なんとなくそう思うんです。
だって、あの時の先輩の目には、人間らしい輝きが全くなかったから。まるで、死人のような目で、私を恨んでいるかのように………。
あの時、三人が止めてくれなかったら、私はどうなっていたのでしょうか。
今でも、先輩は時々あの目でこちらを見てきます。
その度に三人が私を助けてくれて、とても感謝しています。
時々、首に痛みを感じ、触ってみると焼けるように熱くなっています。
先輩も怖いですが、あの三人がついてくれていれば乗り越えられるような気がします。
でも、インフルエンザになってから、日がたつにつれ痛みがひどくなっているような気がするのです。
まるで、先輩が私の首を呪っているかのように……。
そういえば、バレー部時代、いつも頑張って大声を出していました。
先輩の気に障ったのでしょうか。
先輩は、私と同じような性格で、大声を出すことなんてもってのほかだったと思います。
私はなんとか自分で変わろうと、自分に自信を持とうと大声を出していたのですが、違う先輩に「ナイス、声!」と言われて嬉しかった事を覚えています。
……バレー部時代から、先輩に首を狙われていたような気がします。
今は、全く声が出ません。両親にそんなことを話しても信じてくれないだろうし、あの三人には話しておきたいと思います。
あの三人なら、信じてくれると思います。
先輩がメールで、『のど痛い?』と送ってきたのは、わざとでしょうか。
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