
長編
深夜喫茶「見えない交渉」
まなみ 5日前
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けだ。
「この子は諦めてもいいそうですが、それ以上はだめだそうです。どうしますか?この子だけでも開放してもらいますか?店はそれで落ち着くと思いますけど、」
それを聞いて俺は多少安堵した。とにかく今はこの状況から開放されたい気持ちで一杯だ。
店が落ち着くならそれが一番だ。
「よ、よく分かりませんがそれで、それでお願いします!」
藁にもすがる気持ちだった。
するとメロンちゃんは顔色一つ変えず無表情なまま、
「分かりました……」
と、一言だけ呟いて、何やら窓の外を指差し始めた。
窓の外、通りすがる通行人が指を指された事に対して、怪訝そうな顔をして店内に奇異の目を向けてきた。
俺はすぐにその通行人に頭を下げた。
もはや営業妨害レベルだ。
そう心の中でぼやくと、突然、
「うわぁぁんっ!」
女性の泣き声だ。
さっきみたいな、何かとり憑かれた様な泣き声ではなかった。
メロンちゃんにすがりつくようにして泣きつく女性。
そんな女性の頭を、メロンちゃんは優しく撫でている。
そして俺の方に向き直ると。
「タクシーを呼んであげて下さい。この子はもう、大丈夫ですから」
「は、はい」
俺は返事を返すと、急いでタクシー会社に電話した。
程なくして一台のタクシーがやってきて、俺は車の中まであの女性を運んだ。
「酔っ払いですか……?」
と、迷惑そうな顔で運転手に言われたが、
「失恋したみたいなんでそっとしといてやって」
と言っておいた。
店内に戻ると、メロンちゃんが帰宅の準備をしていた。
「あの、もう帰るんですか?まだお礼もできていないのに」
そう言うとメロンちゃんは、
「店員さん、帰りは歩きですか?」
と聞いてきた。
またもや意味不明な質問。
が、一応助けてもらったのだから、ぞんざいな受け答えはできない。
「いえ、バイクですけど……」
「そう、電車じゃないんだ。ならいいか……」
ポツリと言うと。メロンちゃんは代金をカウンターに置いて、頭をペコリと下げてから、店を出て行った。
代金に目をやると、ぴったしだった。
翌朝、俺は昼勤の奴らに引継ぎをし、店を後にした。
店長に嫌味の一つでも言ってやろうかと思ったが、やめた。
疲れた。
とにかく
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(19件)
- 取手駅の事件なら電車じゃなくバスでの通り魔だし、 指差しでのり移らせたとしたら、事件起きた時間と時間差でるのでは。 一旦家帰るか買うかで包丁手に入れて、わざわざバス乗り込んだってこと? 冷静に考えるとちぐはぐに感じますが…… 怖い話としては面白かったです名無しさん
- 取手駅の通り魔事件でしょ2010年 学生13人くらい殺傷してたよね2えr
- その事件ってなんて検索すればヒットしますか?ケビーニョ
- メロンちゃんは女の子だよね?なぜ僕?キノピオ
- オーバーフロートって…(笑)笑わすなイプシロン
- 0/100です。
- 続編の題名はなんですか?カナ
- 遅くなりました。実体験です。コオリノ
- 聞き方が雑でしたよね、投稿者さんの実体験ですか?それとも人から聞いた話を、その人の主観で語る風の感じですか?あんこう
- 実体験?あんこう