
私は仕事から帰ると、いつも郵便受けを覗くのが習慣です。
大抵は何も入っていないか、広告チラシばかりですが、ある冬の夜、無地の封筒が一通入っていました。
中には白い紙が一枚、丁寧な字で『見てごらん』とだけ書かれていました。少し不気味に感じ、家の施錠を念入りにしました。
しかし、それ以降毎日のように同じ無地の封筒が届くようになりました。内容はその都度異なり、例えば『冷蔵庫の底、見てごらん』とか『ソファの下、見てごらん』など。
冷蔵庫の底からは腐りかけの食材が、ソファの下からは失くしていたイヤホンが出てきました。引っ越しを考えましたが、経済的に厳しく、実害がないからとスルーしていました。
しかし、封筒の内容は次第にエスカレートし、私が普段は手をつけない場所を指示するようになりました。たとえば、『テレビの裏、見てごらん』や『バルコニーの隅、見てごらん』。
そこから出てきたのは、私の髪の毛や爪の欠片でした。恐怖で動揺しましたが、仕事のストレスもあり、引っ越すことは考えられませんでした。
そして、ある晩、郵便受けを確認したところ、無地の封筒の中には『クローゼットの中、見てごらん』とだけ書かれていました。
恐怖心を抱きつつも、クローゼットを開けると、そこには私の部屋が写された写真が貼られていました。角度はまるで、誰かがクローゼットの中から見ているかのようでした。
写真の裏には、封筒の中と同じ丁寧な字で『今、あなたの背後にいるよ。振り返ってごらん』と書かれていました。振り返ることができるか、私はその瞬間、全てが凍りつくような恐怖を感じました。何かが、私の後ろにいるのを感じたからです。彼女が振り返った瞬間、何が見えたのかは誰にも分からない。私の心は、永遠にその瞬間に囚われてしまったのです。
その後、彼女の姿はどこにも見当たらなくなり、彼女の部屋は長いこと無人のままでした。郵便受けには、無地の封筒も届かなくなりましたが、彼女の恐怖は決して消え去ることはなかったのです。
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