
短編
白い女の人
匿名 3日前
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遊園地でアルバイトを始めた。
絶叫系アトラクションでお客さんの案内などをする係になった。
絶叫系アトラクションには、コースの横に階段がついていたり、人が歩けるような細い道があったりする。
勿論、整備員がコースの点検などをするために歩けるようになっている。
バイトを始めた研修期間の頃。
閉店後に「コースを歩いて一周してこい」と先輩に言われた。
普段は絶叫マシンが走っている横を人が歩いて行くのはシュールな感じがした。
絶叫マシンがカタカタ・・と上がって行く坂の横の長い階段をひたすら上がって行く。
そのあともコースに沿って歩いて行くのだが、コースが急な坂になっているところは円状の階段などで大回りして、普通に歩けるコースになっていた。
そしてある程度進んだとき、コースが円状にぐるっと回るところの中央のポールの上に白い服の髪の長い若い女性が立っていた。
俺は思わずビクッとなった。
何であんなところに女性が?
人形や立体映像などではないし、コースの監視か、あそこに立つことに何か意味があるのか?
スタッフがふざけているのかとも思ったが、閉店後の点検の時間に、あんな危険な場所で?
俺は怖いって言うよりは、疑問のほうが大きかった。
そしてコースを進み、元の場所に戻ってきた。
先輩スタッフにさっきの女性のことを話すと、
「君も見たか?まぁ、気にするな・・」
と言われた。
その後、コースを歩いて点検する仕事が俺の担当になることはなく、あの女性を見ることは二度となかった。
一度客としてこの絶叫マシンに乗りながらコースを見てみたが、例の女性が立っていたポールはとても上に人の立てるような形状ではなかった。しかも地面からかなり高い位置にある。
そんな場所にヘルメットや作業着も着ずに女性が上り、頂点で立つことなどほぼ不可能だしやる意味もない。
先輩スタッフも言葉を濁すということは、他の人も知っている何かがあるのだろうか。
この怖い話はどうでしたか?
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