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長編

巫女のバイト

匿名 2021年7月1日
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今から10数年前の高校生3年生の時の話。 そんなに怖くないかも。てか全然怖くないです。 フェイク入れてます 私(K)の生まれはそれはもう田舎で、冬になると大雪が振る地帯。 高校生ともなればバイトのひとつやふたつやりたいものだが そのバイト先となるようなファミレスさえ無いとんでもない田舎である。 (高校卒業し上京したあとやっと徒歩圏内にコンビニができたけど高校生はバイト不可だった。可哀相。) 部活もとっくに引退し進学も決まりとにかく暇だった私は冬休みを持てに持て余しまくっていた。 そんな時、親から○○神社が大晦日に巫女のバイトを募集しているからやってみたら?と言われ飛びついた。 話を聞くと大晦日の夕方18時から次の日の元旦の朝8時まで初詣に訪れる参拝客に甘酒を振舞ったり、なんやかんやを手伝う仕事だった。 眠たかったら裏手の神主さん宅で寝かせてもらえるし紅白歌合戦も観ていいし年越しそばという名の賄い?も出るしなにより報酬3万。 やるやるやるやる!と即答だった。 2名募集しているとの事で同じく暇そうだった幼なじみのNを誘い 大晦日の日、私は人生2度目となる巫女の衣装に袖を通しルンルンで参拝客を待っていた。 何故2度目かというと中3の頃にこれまた幼なじみのNと秋祭りのとき神様の前で巫女として神社で舞を踊った経験があったからである。 その時神主さんが神社からお神輿に御神体を移す儀式があるのだが、絶対に顔を地面につけ目を閉じていなさい、終わるまで絶対顔をあげてはいけない!!と再三言われていたにもかかわらず 目を閉じるどころかガン開きで顔をあげてムチャクチャ怒られた経験がある私たち二人をよくまた巫女として採用?してくれたましたねと苦笑いで尋ねると 神主さんも苦笑いで「あれにはヒヤッとしたけどなにより嬉しかったみたいだからね、気に入られたんだよKちゃんたちは」と言われた。 誰に???ってなったけどその時は神主さんの奥様(超いい人)にかな〜くらいにしか思ってなかった。 ちなみにこのご夫婦にはこの時はまだお子さんがおらず(だから巫女を募集してた)中3の時の舞の練習時にも奥様が必ずお小遣いじゃ買えない量のお菓子をくれたり、Nと犬の散歩してる時にばったり会った時も秘密よと言ってアイスを買ってくれたりと、 とにかく可愛がってもらった記憶がある。 絶対こんな競争率の高いバイト、よくまたNと二人で出来るなんてな〜と話してると 実は募集なんてかけていなく、直接私の親に神主さんがKちゃんとNちゃんに巫女やってもらえないかとお願いしにきてくれたらしい。 親が私に募集してるとあえて言ったのは、神主さんがお願いしてると話すと100%私が調子に乗ると思ったかららしい。合ってるよお母さん。調子乗ってたよきっと。 そうして始まった巫女のバイト、スタートしてから0時半まではマジで1秒の休憩もなく参拝客の対応をしていた。 想像してた倍以上の忙しさだった。日またいでないから初詣じゃないし、0時まではヒマだろなと思っていたのに0時まで起きていられないおじいちゃんやおばあちゃんたちが列をなして参拝しにきてくれた為である。 町民全員が知り合いレベルの田舎なのであら!KちゃんNちゃん!立派になって〜(10分くらい立ち話)というのを繰り返しやっと一息ついたのが午前1時前だった。 ここから5時くらいまではぐっと人が減るらしく(たまにヤンキーが行くとこなさすぎて来る位) 休憩していいよ〜と言われNと二人で奥様お手製の年越しそばを頂きハーゲン○ッツも頂き××(神主さん)には秘密よ〜♪と奥様から報酬とは別にお年玉も頂きスーパー上機嫌でNと二人でストーブの前でオセロしてた。 そうこうしてると2人とも眠たくなり、必死に眠気と戦っていると雪をキュッキュッと踏み鳴らす音が聞こえて参拝客だ!と飛び起き外に出た。 けど誰もいない。 Nが「あれ?今誰か来たよね?」と言うとまたキュッキュッと鳴る。 でも誰もいない。え??? 神主さんも奥様も聞こえてたみたいで「誰もいないねえ」と言っている。 不思議と怖さはなく、先に外に出たNが「Kもこっちきてみ」と言うので外に出ようとした瞬間 ドカドカドカドカ!と大勢が一気にこっちに向かって走ってくる音が聞こえ私は思いっきり前に引っ張られ、うわ!と声を上げそうになった瞬間なんとも言えない感覚に襲われそのまま倒れ込みそうになった。 でも倒れ込む瞬間神主さんが慌てて体を持ち上げてくれ、 そのまま引きずられるように中に戻り神主さんがスパン!と襖を閉めた。 わたしもNも(°д°)こんな顔してたと思う。 時計を見たら午前二時すぎだった。 一瞬の静寂の後神主さんが「まあこういうこともある。参拝したくなったんかねえ」と優しい顔で言ってた。 いや私おもくそ何かに引っ張られ意識失いかけましたけども?と思っていると神主さんがぽつりぽつりと話してくれた。 実は私とN、ここ○○神社の神様にえらく気にいってもらえたみたいで神のお告げじゃないけど、今年の巫女はKとNに。と言う声を神主さんは夢の中で聞いたらしい。 私たちを気に入った理由としては毎日挨拶してくれること(小学校、中学校、高校へ行くために乗るバス停までの道のりにこの神社はあります) 他にも色々あったけど1番はあの中3の時に顔をあげてガン見しまくってた事らしい。 普通怒るやろ、、と思ったが神主さんいわく、要約するとワシ神様やのに顔あげるなんてその度胸が気に入った。との事らしい。 半信半疑でいるとNが「気に入ってもらえたのは分かったけどなんで今年なんですが?毎年声かけて下されば私ら絶対やってましたよ」 と聞くと神主さんが、 「KちゃんもNちゃんも、今年進学で県外出るやろ?寂しかったんじゃないかなあ。うちは女の神様だから、同じ女同士なにか悪いことが起きないように心配もしているみたいだし、でも地元からは離れることが出来ない。だから最後に会いたかったんだと思うよ」と言われた。 ちなみにさっきキュッキュッと音を鳴らしたのはやはり生きている者ではなく、神様があれだけ気に入っている人物なんてどんなヤツなんだろうと見に来た野次馬霊らしい。 はじめはNだけだったけど私も下に降りてきたことによって霊という霊が どれどれー!誰ー!見たい見たーい!!状態になり ドカドカと音がし私は手を引っ張られたらしい。 アイドルやん…(笑)とNと呆然としていると神主さんが「あれ以上は危なかった。Kちゃんが連れていかれそうになったからね」と。 それ聞いてさすがにめちゃくちゃ怖くなった。 そんな淡々と言わんといて下さいよと神主さんに泣きついていると ふっと暖かい空気になった。なんというか空気が変わった?というか。 神主さんが「大丈夫だよって言ってるよ。○○様はいつでも君たちを見守ってくださる。 今年からなかなか会えなくなるけど、たまには思い出して、感謝の気持ちを持ちなさい」と言われて涙した。 そこから少し仮眠を取り言葉通り5時頃になるとまたぼちぼちと参拝客が訪れてきてアラヤダKちゃんNちゃんー!(エンドレス立ち話)が始まり 約束の8時までは一瞬だった。 そして神主宅でお風呂を借り奥様お手製のおせちを頂き、報酬も頂き、神主宅で飼われている猫としこたま遊んだあと ありがとうございましたと帰宅した。 そこからは何事なく日々を過ごし現在に至るけど、 あれから別の神社に行く時はおろかそこらへんに祀ってある祠にまで見かけると必ず心の中で感謝の念を伝えるようにしている。 そのおかげかどうか知らないけど、大病も大怪我もなく、健やかに暮らしている。 今回この話を書こうと思ったのは、コロナでなかなか帰省が出来ず、お祭りも年末年始も帰れず、 来月の夏こそ必ず帰ろうと思ったときにふと、あの神社の存在を思い出したからです。 全然怖くなくてすみません。 今年は、会いに行くね!

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