
長編
見つけた
梨ちゃん 2016年7月22日
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まず始めに。
霊感と言って良いかは分かりませんが、子供の頃から不思議な体験や、妙に近付きたくない場所などは悪寒が止まらなくなるなど、漠然としたものを感じていました。
そんな私が実際に体験した内の1つを挙げたいと思います。結構な長文になるかと思いますが、ご了承下さい。
約20年前。病院に入院していた時の事です。
小児病棟という訳ではありませんでしたが、同室や周りの部屋にも同年代くらいの子が多く、悪戯して回っては看護婦さん達から叱られてといった日々を送っていました。
そんなある日の晩、ふと目を覚ますと、そこには毎日の様に遊んでいたT君がいつもと変わらないパジャマ姿で立っていたのです。
また何か悪戯でもしに来たのかと笑いながら話かけましたが、T君はほほえんだまま何も答えません。
不思議に思って「どうしたの?」と聞くと、「Sちゃんが呼んでるから、僕行くね。M(私)ちゃん、楽しかったよ。」と。
私はどこに行くのか聞こうとしましたが、そこで意識が途切れ気付けば朝となっていました。
あれが夢かどうかも分かりませんでしたが、いつも通り広場へ遊びに行けばT君もじきに来るだろうと部屋を出た矢先、看護婦さん達が慌ただしい様子。
ですが少しだけ見慣れていた事もあったのか、特に気にする事もなく広場へ行き、いつものメンバーが集まる中、T君だけが来ない。
具合でも悪くなったのかなー。なんて話をして、その日は適当に遊んで解散しました。
そしてその晩、寒くて目を覚ました私は足下の妙な感覚に気付きました。
ふと見ると見慣れない女の子がうずくまって私の両足をゆっくりゆっくりと引っ張っていたのです。
誰かの悪戯だろうと声を掛けても返事はなく、隣で寝ていた母を起こそうとした時、Sちゃんの声が。
「Mちゃん、遊ぼう。T君も一緒に待ってるよ」
私はT君がどこにいるのか聞きましたが、帰ってくるのは
「Mちゃん、遊ぼう。T君も一緒に待ってるよ」と全く同じ内容。そして変わらずゆっくりと足を引っ張る感覚。
私は怖くなり、「また明日ね。」と言うと、先ほどとは打って変わって足を引っ張る力が強くなりました。
驚いた私は必死にベッドの柱か何かに掴まり、「Sちゃん止めて」と繰り返すばかりで、そこでまた意識が途切れていました。
次に私が目を覚ましたのは3日後の朝。
訳も分からず母に抱きしめられながら、高熱と出血が止まらず意識不明の状態だった事、Sちゃんを呼び続けていた事を聞かされました。
その後体調も良くなって行きましたが、T君とSちゃんに全く会わなかったため、遊びに来た子たちに聞いたところ誰も答えてくれません。
看護婦さんに聞いても、「Sちゃん?あぁT君ね…」と濁すばかり。後から聞いた話ですが、T君は私が彼と部屋で会った前日から容態が悪化して、そのまま意識が戻らなかった様です。
そしてSちゃんは…以前彼女から聞いた覚えのある番号の部屋には知らない大人の方が入っていました。
一緒に遊んでいた友達に聞いても分からず、両親や看護婦さんに聞いても、そんな名前の子は入院していないとの事。
お見舞いに来た子だったり、私の勘違い(名前聞き間違えたとか)じゃないかといった話となり、元々退院が近かった事もあってか渋々納得させられる様な形となりました。
その後私は退院し、両親の転勤や兄弟の進学の事もあって地元へと帰る事となり、そこでの友達との手紙・電話のやり取りも中学・高校と上がるにつれ徐々に少なくなって行きました。
そして奇妙な体験からちょうど10年後、高校卒業を控えたある冬の朝の事です。
私は家の手伝いを終えて、帰り道を歩いていました。
そしてその途中、右手に立っている電柱の脇に小学校低学年くらい?の子が顔も俯いてしゃがみ込んでいたのです。
どこかの親戚の子かな、大人が一緒についてきてるだろうと周りを探しましたが、それらしき方は見当たらず。
振り返ってその子を見ても、先ほどと同じ態勢のまま身動き一つしないのです。
流石にこの寒い中、しかもその子の格好を見ても厚着している風でもないし。それにぱっと見た感じ、今時の子らしくない。
「お家はどこ?大人の人は一緒じゃないの?」と聞いても首を微かに振るだけで立ち上がる様子もありません。
気味が悪くなり、そのまま離れる様に足早に家へと帰り母に話したところ、「こんな感じの子?確か7時過ぎかな。私も見たよ」と。
翌日も手伝いを終わらせて家へと帰る途中、また昨日と同じ場所に例の子が俯いてしゃがみ込んでいる。
やはり気味の悪さから、出来るだけ離れた道を通って帰ろうとしたところ、ふと後ろの方から「出来た」と聞こえてきましたが、聞こえない振りをして、その日は家の中に。
3日目の朝。
同様に手伝いを終えての帰り道。しかし、今日はあの子がいない。
少しだけ安心してふと右をみると、そこには歪んだ大きな丸の中にT君、Mちゃん、Sと赤い字で書いたのか掘ったのか分からない物があった。
怖くなり走って帰ろうと振り向いた時、後ろの方から一言。
「見つけた」
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