
中編
通過する存在
匿名 2日前
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い髪の女の姿があった。暗くてよく見えないが、痩せていた。男子校の男子高校生だった僕は、幽霊に対していかがわしい考えを抱いた。「幽霊を布団に引きずりこんで、Hなことができないか?」と。幽霊相手なら罪にはならないだろうと。 その次の金縛りの夜、僕はその足をつかもうと手を動かし、見事に細い足を掴んだ。だが、手に感じた感触は瞬く間に消え、まるで冷たくない雪が溶けて蒸発するかのように、その存在は消えてしまった。何度か同じことを試したが、数秒の抵抗の後に必ず消える。それはまるで空気のようだった。 ある日の金縛りでは、僕の体の横をオッサンか爺さんのような幽霊が通過していった。どうやら「通過する存在」は女だけではないらしい。オッサンまで引きずりこもうとしていたかもしれないと思うと少し気持ち悪くなった。それからは、性別を確認してから幽霊を襲うことにしたが、掴んだ感触は常に希薄で、残念ながら幽霊で性の喜びを知ることは出来なかった。 大学進学とともに、そのマンションを去る日が来た。 ネットでマンションや近くの霊園について調べたが、どこにも事故物件の情報はなかった。恐らく、あの部屋は霊の「通り道」であり、僕は単に道に寝転んでいた邪魔な障害物に過ぎなかったのかもしれない。霊園と神社、山の山頂を結ぶ直線上にあったことも、何かしらの理由だったのかもしれない。
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