私は20歳（はたち）で実家を出ました。 家族に感づかれぬよう、 クローゼットや机の中身だけを 徐々に恋人宅に運び出し、 最後には書置きを残しての家出でした。 社会人になって、 仕事で海外出張に行くことが決まり、 パスポートを作るために戸籍謄本を取ったところ、 そこではじめて 自分の本当の母親の存在を知りました。 戸籍謄本の情報から、 なんとか実の母親を見つけ出し、 出会うことができました。 実母との再会後、 例の入眠時心像や夢は、ぱったりと 見ることがなくなったのです。 暗い水中に太い管がある光景は 胎内の光景だったのではないか、 と以前友人から指摘されたことがあり、 実母と出会ってハッと思い返しました。 また、赤ん坊の私を抱いた母から 無理やり引き離したのは 私の祖父と父であったことが、 実母からの話から 現実にあったことだとわかりました。 これらの入眠時心像や夢は、 実の母方の先祖か、またはなにか不思議な力が、 私に実の母がいることを知らせるために、 こういったものを見させていたのかもしれません。 しばらくしてこの後、 ふたたび多種多様な入眠時心像を たくさん見るようになったのですが、 それはまた別の機会に。