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短編

当たりの出る自販機

匿名 2日前
怖い 22
怖くない 17
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「……ああ、その話、知ってるよ。駅裏のやつでしょ?」 缶コーヒーを片手に、彼は苦笑いを浮かべた。 俺が例の自販機の噂を話すと、思いのほか食いついてきたのだ。 「大学の頃さ、あれで“当たった”ことがあるんだよ、実は」 彼が言うには、駅の裏手、古い雑居ビルの脇にあるあの自販機。 夜に通ると、ときどき光ってるらしい。周囲に誰もいないのに。 普通のラインナップ。ジュースもコーヒーも見慣れたものばかり。 でも“当たり”が出ると――もう一本、見たことない缶が落ちてくる。 「白い缶。ラベルもないし、ブランドロゴもなかった。 触った感じ、ちょっとだけ温かった。何が入ってるのか、まったくわかんなかった」 興味本位で飲んだ。 開けた瞬間、音も匂いもなかったという。 口に含んでも甘くも苦くもない。水でもない。 まるで何も飲んでいないような、でも体に何かが入ってきたような、 そんな感じだったらしい。 「で、その日の夜さ。夢を見たんだよ」 夢の中、誰かが待っていた。 見覚えがあるような、でも思い出せない顔。 どこかで別れた誰かのような気もするし、 まだ会っていない誰かのようでもある。 その人が、にこっと笑って言ったという。 「おかえり」 朝、彼はベッドのそばに空の缶が置かれているのを見つけた。 昨日捨てたはずの、あの白い缶だ。 底には小さく”16”という数字が刻まれていた。 「それ以降は一度も当たってない。 けど、夜に部屋で寝てると、ときどき“ガチャン”って音がするんだ。 缶が落ちるあの音。自販機なんて、部屋にないのにさ」 そう言って、彼はふと笑った。 「だから持って帰っちゃダメなんだよ、あれ。 たまに“会いたくなる”けどさ。もう一回あれを飲んだら、 たぶん……今度は“向こう”から来るんだと思う」 それっきり彼とは会っていない。 SNSも連絡先も、急に消えていた。 ただ一度だけ、俺の家のポストに白い缶が置かれていた。 当たりなんて、押してないのに。

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