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長編

海浜公園の出来事

4日前
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する姿が見られる。と喜んでいると、それが鳶とは少し違う事に気づきました。 背中が妙に盛り上がり、翼はやけに短いように見えました。  飛びかたも、普通は一直線に滑空するものだと思いますが、ゆらゆらと上下しながら、やけにのんびりと近づいて来ます。 私は近眼なので、かなり近づいてやっと気がつきました。それはやはり、鳶ではありませんでした。鳶ような色合いをしたそれは、海亀でした。 海亀は、私の上空をゆったりと泳いで行きました。 海亀越しに見た空は、水面のように揺れ波打っていました。 海亀は、私の来た防風林の中に、溶けるように消えて行きました。 そのときは、目の前で起きた事の意味がわかりませんでした。 もう一度、海を見てみました。空と海と砂浜の境界線は曖昧で、相変わらず、薄い青色に霞んで見えます。 その風景は、以前、沖縄の座間味諸島でゴーグルを付けて見た海中の景色と酷似していました。 よく見れば、先ほどまで自分が砂浜だと思っていたこの砂地は、陸上の様子と異なっているように見えました。 灰色の岩から、柔らかな植物が生えており、風もないのにゆらゆらと揺れていました。その植物の周りに、小さな生き物がたちが隠れているのですが、それはどう見ても小魚に見えました。ハエに見えたのはこの子達だと思います。 ここは、海中だ。 そう理解した瞬間、驚きと同時に、奇妙な寂しさが込み上げて来ました。 言うなれば、母校の小学校を見学した時のような、楽しい思い出を思い出し、もう二度と戻れない事を噛み締めるような、望郷の思いにも似たもの悲しさです。 もう少しここに居たい。そう思い始めた頃、やや左前から、大きな船底のような黒い影が見えました。 それを見た瞬間、さっきの寂しさなどぶっ飛び、生物的な恐怖に教われました。 海の中で、そのように巨大な黒い生き物と言えば、鯨しかいません。 私は、小さい頃から鯨が苦手なのです。 なぜかはわかりませんが、あまりの怖さに、鯨の写真に触ることもできず、鯨の大きな絵が描いてある市民プールで大泣きした記憶があります。高所恐怖症の人はわかってくれるかも知れませんが、とにかく足がすくむほど怖いのです。 黒い影は、ぬるりとした滑らかな動作でこちらによってきました。 その影が鯨であるかどうかもわからない状態で、私は背を向け、あわててバイクに向かいました。 振り返ることはできません。もし、あの巨躯が私の目の前に現れた

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  • そのような夢を見たのでしょう
    匿名
  • ただ単に怖いだけでなく、もの哀しく美しい話でした。 こういう余韻を感じさせる話は好きです。
    もぐこわ
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