
中編
時計
匿名 4日前
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でしたから、今家にいることが出来る理由が何一つないのです。
それにおかしな事はまだありました。時計の秒針が、すーっと、音もなく逆向きに回っていたのです。
それに、付けっぱなしにしていたはずのテレビはいつの間にか真っ黒な画面をこちらに向けていたのです。
何よりおかしかったのが外の様子です。3時30分なのにもかかわらず、真っ暗なのです。いえ、正確に言うならば、真っ黒だったのです。洗濯物も、ベランダで育ててた花も、何もなく、ただ黒々とした空間だけが広がっていたのです。
家の中は異様な雰囲気に包まれていました。音もなにもない、一切の静寂の中で、ただ時計の秒針だけが、ただ静かに動いていました。
そして時計は、2時45分を指していました
やばい
全身の毛穴がぶわっと開き、冷や汗が止まらなくなりました。
やばいやばいやばいやばいやばいやばい
何かをしようと思っても体が動きません。いえ、体を動かそうと思えないのです。ここで動いてしまったら一生元の世界に戻れないのではないかという圧倒的な恐怖が体を、頭を、支配していました。
その時突然、外から「赤とんぼ」が聞こえてきたのです。
テレビは元通り、商品を説明する明るい声が響き、空は橙色に、時計は、5時を指していました。
私の体は震えていました。元に戻れたんだという安堵感で体が自由になったんだと思います。
その後、母が帰ってきて、体験したことを話しても笑って取り合ってくれませんでした。
私が体験したあの空間は何だったのでしょうか。今でも夕暮れ時に「赤とんぼ」が流れると、全身に鳥肌が立ってしまいます。
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- 夢だーくわはらあゆむ
- 寝ぼけすぎ。100%夢!匿名
- 少し不気味で怖いですね。_
- 似たような奇妙な体験をした事ありますRail