
「私、前から変な感じがするの。たまに見えちゃうことがあるの」
それを言ったのは、友人の椎名だった。私たちはいつものように、カフェで夕食を楽しんでいた。
「え、じゃあ、心霊スポットに行ったら何か見えるってこと?」
好奇心旺盛な直樹が食いついた。椎名は少し間をおいて頷く。
「うん、でも行ったことがないから、自信はないけど」
「じゃあ、行ってみようよ!」
その一言で、私たちは本当に廃校に行くことになった。
行くことになったのは、街の外れにある、今は誰も近づかない廃校だった。かつては賑わっていた場所だが、今では朽ち果てた姿を晒していた。
そこは心霊スポットとして少し有名で、校舎の壁には落書きが目立っていた。
参加メンバーは私、椎名、直樹、さやか、そして健二の五人。土曜日の夜に決行した。
怖がりな椎名は、校舎に着くと真っ先に直樹の背後に隠れた。「ここ、怖いよ。帰りたい……」
怯える椎名に、直樹は「大丈夫だよ!俺たちがいるから!」と励ます。
いつも明るいさやかが静かになっているのも気になったが、気にせず校舎に入った。
校舎の入り口は閉ざされていたが、窓が壊れていたため簡単に入れた。薄暗い廊下には、崩れた机や椅子が散らばっている。
「すごいな、こんなに残ってるんだ」
直樹が教室のドアを開けた。
「昔はここに子供たちがいたんだな」と呟くと、椎名が考え込むように言った。「そうだね。でもなんかここ、やっぱり気持ち悪い」
その時、さやかが口を開いた。「椎名、霊感あるんでしょ?ここに来てから何か見えた?」
「えっと…見えないかも」
「じゃあ、ここには霊はいないってことだね」と直樹が言うと、椎名は少し安心した様子だった。
でも、さやかの様子がいつもと違うのが気になった。「さやか、どうかした?」
「いや、なんでもない」と小さく笑う。
校舎の奥には、図書室や倉庫があった。暗い廊下を懐中電灯で照らしながら進むと、階段が見つかった。「二階に行こうぜ」と直樹が言うと、みんなは従った。
しかし、途中でさやかが「ちょっと待って」と言った。冷や汗をかいている顔を見て、皆は心配した。
「大丈夫?外で待ってる?」と椎名が尋ねると、さやかは頷いた。
結局、肝試しは中断。私は直樹を呼び戻すために二階へ行くことになった。廃校の中を一人で歩くのは怖かった。
階段を登るとき、音が鳴り響くたびにビクビクしてしまった。
「私、こんなに小心者だったかな……」
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