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長編

申告外貨物

しもやん 3日前
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配するそうで(海上輸送を売っている会社も得体の知れないインド人が運営するうさんくさい会社のようだった)、こちらは船会社から借りた空コンテナを作業現場まで運ぶドレイ手配と、作業完了後の通関業務のみ。中古衣類は慣れていないと税関を通しづらい貨物だが、わたしの会社は幸いその手のダーティな貨物は得意だった。      *     *     *  バンニング作業当日、外人ヤードとあってなにかしらトラブルがあるだろうと構えていたけれども予想は裏切られ、空コンテナはスムーズに接車できた。ドライバーにも聞いてみたが、現場ではどこの言葉とも知れぬ意味不明な言語が飛び交っていたけれども、責任者らしき人物は一応まともな日本語を話したし、シャーシの誘導もしてくれて友好的だったそうだ。  作業終了予定の3日後、拍子抜けすることにバンニングは滞りなく終わったらしく、無事実入りコンテナをピックしてCYヤードへの搬入が完了した。あとは荷主が送ってくる通関書類とバン詰めの写真をもとに申告書類を作成し、税関から輸出許可をもらうだけだ。これらすべてが完了すれば、コンテナはコンテナ船に積み込まれてカラチへ向けて出港する。  申告書類を作る際には足りない情報などいくつかトラブルがあったけれども、この手の外人顧客ではなにもかもスムーズにいくほうがむしろまれだ。都度情報を収集し、本船出港の2日前に申告。すると面倒なことに税関による現物検査になった。輸出実績のない新規荷主は現物検査になる可能性が非常に高い。なじみのない荷主は検査する。税関は裁判所とは異なり、〈疑わしきは罰する〉の倫理で運営されている。  わずらわしい検査手配をこなし、検査当日。検査には税関職員、通関業者の従業員が立ち会う決まりになっている。わたしは営業担当者なので当然駆り出された。税関構内へヘルメットをかぶって到着すると、すでにコンテナは先着していた。税関職員を呼び、封印用のシールを切断し、扉を開ける。  当然であるが、中身は写真通りだった。ぎっしりとプレス機で圧縮したらしい布団の塊が詰まっている。ひとつでも塊を取り出してしまったが最後、もとに戻すのは困難なタイプのやりかただ。コンテナの海上運賃はボックスレート――すなわち1本何ドルというように算出される。したがって内部に1カートンだけぽつんと置いておくのと、本件のように隙間なくぎっしり詰めるのも値段は同じである。目の前の状態は荷

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  • このお話は結構良かったです。
    しゆか
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