
長編
幼少期の体験談1「裏山の石段」
匿名 3日前
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して、今度はお姉さんに言いましたが、お姉さんも取り合ってはくれませんでした。
「心配しなくても、石段が崩れていて登れなかったら引き返せば良いよ」
そう言って、とうとうみんなは歩き出してしまいました。
私もとうとう心が折れて、後ろを小走りに着いて行きました。
本堂の裏にある木造りの門を登っていくこともできたのですが、それでは大人達にばれてしまうと言うことで、遠回りして裏山に入ることになりました。
ただ、それには川を横切らなくてはなりません。
「どうするの、お兄ちゃん」
そう聞くと、お兄ちゃんは自慢げに話しました。
「俺知ってるんだ。この川べりを歩いて行くと、木の橋があって、この前それを見つけたんだけど、その先に道があるんだよ。石畳が敷いてあるから、きっとお前の家の裏山に繋がってる」
私にはお兄さんが何故その道の先が家の裏山に繋がっていると思うのかさっぱり分かりませんでしたが、お兄さんはもう何を言っても聞きそうにありませんでした。
やがて、歩いていると橋が見えてきました。
ほらあっただろ、と、お兄さんが一番にそれを渡ります。
橋はかなり古くなっているようで心もとないものでしたが、幸い川までの高さはそう高くなく、川の流れも穏やかで渡ること自体はあまり怖くありませんでした。
特に田舎の子供達はそういうことに慣れっこなのかみんな平然と渡っていくので、私も急いで後を追いかけました。
ところが、
渡っている途中であるものに気がつきました。というか、目が合ってしまったのです。川の上流のほう、鬱蒼とした林の奥に影がありました。形はぼんやりとしていて見えませんでしたが、黒い塊のようなものがこちらをじっと見ているのです。
やはりおかしいと思いました。それ自体が怖いというわけではないのですが、あまりにもこちらをじっと見ているので何かあるのだと思わずにいられませんでした。
「ねえまって!」
私は叫びました。
皆橋の先で振り返って、驚いた顔でこちらを見ました。
「やっぱりだめだよ。ここ変な感じがする。危ないよ」
そう必死に訴えますが、
「今更怖くなったの?」「ばれたら自分が怒られるからじゃない」
と、みんなそんなことを言って全く聞く耳を持ってくれませんでした。
たまらず私は指をさして言いました。
「あそこ!見てよ!こっち見てる!」
みんなは影の方を向いて首を傾げました。
お兄さんが近寄ってきて私に言いました。
「俺がいるから怖
この怖い話はどうでしたか?
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- 凄く怖かったです。でも話良かったです。すみっコぐらし
- はい、私も結局あの場所に呼ばれたからと言って何をしたわけでもないですし、本当に目的はなんだったのでしょうね。かねのい
- 怖いですね。呼ばれてる感じがしました。相手のあの場所へ誘導した目的が気になりますねNanoarchaeum
- 読んで頂き、ありがとうございます。 そうですよね。いっそ何も見えず知りもしなければ、と思いますね。かねのい
- 興味深い話でした。私は不可解な現象をたまに経験するのですが、力があるわけではないので理由もわかりません。何もない方が幸せだとつくづく思います!匿名