本当にあった怖い話

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2014年3月16日
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前職が前職だったので、不思議な話を聞く機会はそれなりにあった。老若男女問わず、「こんなことがあったんだが、なにもしなくて大丈夫か」、「あれはいったいなんだったのか」等を寺にたずねに来る人は多い。

住職が上手く煙に巻いて安心させて帰らせたり、忙しいときはまともに取り合わなかったりもしていた。それを横で聞いているうち、「不安ってなんだろう」と漠然とした疑問を抱いた。それも、今の学科に入った遠因のひとつにあるのだろう。

僕は心霊現象は信じない。昔は、ごく普通の怖がりな子だったが、宗派が霊だのなんだのを認めなかったため、自然と合理的な解釈を探し、否定しようとする癖がついた。

本当はおっかないけれど、怖がらない姿勢ができた、とでも言おうか。

しかし、そんななかで、どうにも僕の頭では否定しきれなかった物がいくつかある。

寺の居間で、Aさん(仮名、中年男性)が、先週のことですが、と前置きしてから始めた話

中国地方のとある県に旅行に出かけ、昼食に郷土料理を食べたが、それが身体に合わなかったらしく、店を出てから腹の具合が悪くなった。

田舎道なこともあり、トイレを借りられそうなコンビニなどはどこにも見当たらない。

車を停め、その辺の草むらで、とも思わないでもなかったが、せっかくの旅行に、ちょっと恥ずかしい思い出が追加されてしまうのも面白くない。

もう少し、もう少しと我慢を重ねつつウロウロするうち、村営会館の看板を見つけた。

矢も盾もたまらず駆け込もうとしたが、ちょうど玄関から出てきたおばさんと鉢合わせ、危うくぶつかりそうになった。

取り急ぎ、トイレを貸してくれと頼んだが、もう閉館時間で、私も鍵を閉めて帰るところだから、よそを当たってくれ、と、にべもない返事が返ってきた。

しかし、お腹がいよいよ差し迫っていたAさんには、とうてい聞ける話ではない。そこをなんとかと頼み込み、露骨にため息をつかれながらも、どうにか中に入れてもらい、トイレの場所を聞き、一目散に駆け出した。

古い木造建築なため、足音が大きく反響し、それがお腹に響くようで、嫌なおばさんへの腹立ちともあいまって、ここはひどく気に食わない所だと思った。

飛び込んだトイレは、個室が三つある広いものだった。

Aさんは、切迫した状況ながらも、自分が帰った後、あの嫌なおばさんがもしも窓かなにかの確認に来た時に、においが残っているような状況になるのを避けようと、換気扇の有る一番奥の個室の戸を開けた。

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