
これは今から二十年ほど前、私が小学生の時に実際に体験したお話しです。
私の通う小学校には『音楽室のミヨコさん』と呼ばれる子どもの幽霊のお話しがありました。
そのミヨコさんという幽霊の女の子は、ずいぶん前に音楽室で急死した子どもで、夜になると遊ぶ相手を探しているとの噂がありました。
勿論、よくある都市伝説のようなお話しで、実際にミヨコさんを見たという子どもは誰もいませんでした。
そもそもミヨコさんが現れると噂がある音楽室も、すでに使われなくなった木造の旧校舎で、立ち入り自体が禁止となっていたんです。
だけど物好きな年下で幼馴染のユイちゃんと、その友達のヒナちゃんは「夜になったらバレないように三人で見に行こうよ!」と言いだしたんです。
正直怖いし、バレたら先生に怒られそうだったので、行きたくありませんでした。
だけど私は六年生で、二人は年下の四年生です。
「怖いから行きたくないよ」なんてとても言えませんでした。
たまたま三人とも同じ塾に通っていたので、親には塾の空いている教室で勉強してくる、と嘘をついて夜の学校へと懐中電灯を持って向かいました。
私が学校に着くと、幼馴染のユイちゃんは旧校舎の入り口の前で待っていました。
「あれ、ヒナちゃんは?」
私が訊ねると「少し遅れるみたいだよ」と言われました。
ヒナちゃんは五分もしないうちにやってきました。
そして三人で旧校舎の木造りの扉をゆっくりと開けました。
実は本当は鍵がかかっていたのですが、近くの植木鉢の下に、その鍵が隠してあるのは有名でした。だからその鍵を使ってドキドキしながら中へと入りました。
もう夏が近いのに何故か校舎の中は涼しくて、それから何やら甘い匂いがしていました。
入ってから私は警備会社のセキュリティがあったらまずいと思ったのですが、そもそも立ち入り禁止になっている古い校舎でしたので、そういったセキュリティなどの心配はありませんでした。
三人で懐中電灯を使いながら、音楽室のある二階へと向かいました。
だけど音楽室は空っぽで誰もいません。ピアノすらないガランとした空間があるだけでした。
目的は果たしたのでとりあえず私たちは出口へと足早に戻りました。
ちょうど校舎の外へ出た時でした。突然聴こえてきたのです。ピアノの音が。
勿論私たちは悲鳴をあげて逃げ出しました。そしてそのままそれぞれの家に帰りました。
それは怖い体験でしたが、特に実害があったわけではなかったので、私はホッとしていました。
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