
中編
海町から来たA君の話①
匿名 4日前
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ヒヤッとする、冷気って言うのかな、それがスーっと通り抜けていく。8月なのに鳥肌が立つくらい。
そしてその次には生魚が腐ったような臭いと、磯臭さ。そしてポチャッ、パチャッと何かが浮き沈みする音。
ああ、あいつらが近づいて来たんだと思った。
どんどん近づいてくる。船に何かが当たる音。ゴツン、ゴトンとずっと繰り返している。
そして突然、バーン!と船を掌で叩いたような音。バーン!バーン!バーン!
たくさんの人が叩いているようだった。
でも不思議と船は揺れないのよ。小さな船だから波に揺れてる程度には動いてるけど、何人もの人間に船体叩かれたらもっと揺れるし振動も伝わる。
ただそこには音と臭いだけあった。
時間にして20分くらいだったと思う。
急に音と臭いが消えた。それと同時に親戚のおじさんの目を開けてもいいという声。
僕は汗びっしょりで、とても作業を続けられる状態ではなかったけれど、ビビってると思われるのも嫌な年頃だったから何食わぬ顔して作業してた。
空が明るみ始めて、やっと船は岸に向かった。
船から下りておじさんは一言『おつかれさん。海は人間だけのものじゃないってことだわな。』とだけ言った。
次の日から受験勉強を理由に漁師のアルバイトはしなくなった。次の夏休みも当然な。」
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- これあかんやつや
- こわい、、マークアーク