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長編

心象風景

匿名 3日前
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く、僅かに虫の鳴き声と小川のせせらぎだけが聞こえてくる。 振り向いて立ち上がり数歩進んでお堂の背面に近づく。お堂の裏側に居るので停めている車や付近の道はお堂に隠れて見えない。もう通りすぎて行ったのかな…と思い始めていた。 「バン!…バタン!!」 不意に大きな音が目の前のお堂で響いた。五感を研ぎ澄ましている中で突然に目と鼻の先で起こった大音に驚き硬直していた。 中に人が居た筈はない。ボロボロの扉はずっと開いた形跡が無いし、もし人が居ればとっくに気が付いていた筈だ。しかし今の音は…誰かが…あの得体の知れない白い何かが正面の扉からお堂の中に入った音に思える。大きな不安が襲って来た。 お堂の背面の壁を凝視していた。息を殺して板張りの壁の向こう側の気配を探った。…何の音も聞こえて来ない。胸の鼓動は聞こえそうな程大きくなる。辺りは闇に包まれ背後に置いてるランタンの灯りが私の影を壁面に映している。 「!!!」 私は凍りついた。全身の毛が逆立つ感覚がした。壁には私の他にもう一人の人影が、私の影から別れるように揺らめいたのだ。 気付かれずに私の背後に人が周り込めるような場所ではない!しかも手が届きそうな直ぐ真後ろにいる!そして異様に大きい!恐怖の余り私は声にならない叫びをあげて走り出していた。 お堂の側面を周り車に向かおうとした。足がもつれて思うように走れない。あっ!と思った時には私の体はお堂の横の石垣の上から湖面に転落していた。 混乱して水中でもがいた。あちこちに体をぶつけながらも石垣に捕まり立つ事ができた。水深は私の首の下あたりまでだった。 慌てて石垣に沿って小川の流れ込みから岸に上がろうと進んだ。足元に何かが絡みついてくる。それは私を水中に引きずり込もうとしているように思え、さらに私を混乱させた。無我夢中で足掻きながら進んだ。 ようやく水から上がり、藪を掻き分け、転がるように道に走り込んだ。停めている車が見える。駆け寄ろうとするとその向こうのお堂が見えた。私は足を止めた。 お堂は周囲全体が白い霞に覆われて闇の中に浮かび上がるように見えていた。その中心には異様な大きな影がゆっくりと道に向かって歩み出していた。突然、私に気が付いたようにその体を此方に向けた! 反射的に私は車と反対方向に逃げ出した。服も靴もずぶ濡れであったが、構わずに息が上がるまで走り続けた。 振り返り後方を確認すると闇と静寂が広がる

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  • 最後綺麗にまとめてるけど車のカギを見つけて無事に帰ったの?
    菜々氏
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