
中編
心スポのゴミ
home delivery 2日前
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なんとなく他人様の怪談を読んでいたらふいに昔の事を思い出したので語らせてもらう。怖くもなく大した話じゃない。
大学の頃、物静かな隠キャ属性だけどそこそこモテる男とアパートの部屋が近くて友達になった。こいつを以後Aと呼ぶ。
Aが何故モテたかと言うと、他人の悩み事(俺が知る限り主に恋愛や金絡み)を見抜いて助言なり慰めなりをしてくれるからだ。それこそ誰にも話した事ないことでもパッと見抜いてくる。
不思議だなぁと思ってたある日、Aが少し離れた場所で悩み事を見抜いてるっぽい現場を目撃した。Aが前を行く男の背中をジーッと見て、それから駆け寄ってそいつの背中を軽く叩いて、何事か話したら相手の男が嬉しそうに指差して笑い出したりして。
それからAを見かけるたびになんとなく行動を見るようになると、毎回相手の後ろを見て、たまに直接背中に触れるのを見た。たぶんこれがAのテクニックのタネじゃないかと当たりをつけた。
単純に興味もあったし、できるなら真似してモテたいという気持ちもあり、当時の俺は酒瓶持ってAの部屋に突入。他愛のない話をしつつ結構飲ませる事に成功した。
なにせ昔の話だから細部は適当だけど当時の問答を以下に再現する。
俺「お前いつも背中見て悩み言い当てるけどなんかあるの?」
A「人の背中には残像みたいなのが出てて、すぐ消えるんだけどそれ見たら何考えてたか分かるんだよ」
俺「それ幽霊じゃね?生き霊みたいな」
A「そうかもなー。人も動物もみんな出てるよ。動物の考えはよくわかんねーけど」
俺「心スポ行ったら幽霊も見れる?」
実際はもっとグダグダしてたと思うけど、こんなやりとりをしたら『心スポ』のあたりでAは少しムッとした感じで黙り込んで、それからグラスの酒を一気に呷って語り出した。
以降俺はたぶん相槌くらいしかしてないので地文でいく。何回も言うけど、ある程度端折ったりしているよ。
ーー幽霊には期限があるんだよ。消費期限みたいな。人の背中にあるやつと同じで、葛藤が強いほど長持ちする。でも大抵は1か月もしないうちに消える。上からベクトルの違う気持ちが乗ると薄くなるのが早くて、繁華街は発生率高いけどすぐ消える。田舎は長持ちしやすい、と経験上思ってる。
で、お前が言う廃病院とかの心霊スポットな。大抵の場合元の幽霊はすでに居ない。
でも興味本位でそこへ行く奴らが気持ちを置いてくわけよ。恐怖だったり変な期待だった
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- おもしれぇal