
長編
芳香
匿名 4日前
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が、あの美しい花の雄花のはずがない。そうだとしても、こんなものと彼女を掛け合わせたら、できる子供も醜いだろう。」
「ですが、この花は…。」
「もういい。あのショーケースの少女を頂いて帰る。」
「待ってください、それだけは…。」
縋る主人を突き飛ばし、私はショーケースへ向かった。
「やめてください、あの雄花は…。」
「うるさい、黙れ!」
私は近くにあった鉢で主人の頭を殴った。
彼は声も上げずに動かなくなった。
私は急いでショーケースから少女を連れ出し、自宅へと走った。
ー
「…素晴らしい」
私は月光の差し込む窓辺に、花を座らせた。
彼女の肌は月光に照らされて、蒼く美しく輝いた。
「本当に美しい花だ。」
やはりこの花を手に入れて正解だった。花屋の主人には悪い事をしたが、代わりに彼女の世話を一生続ける事を約束しよう。
「…今日は寝るとしようか」
私は窓辺のソファに横になり、花の少女の横顔を見ながら眠りに就いた。
ー
男が寝静まったあと、花の少女の髪がゆっくりとその長さを増し始めた。
それは少しずつ、しかし確実に男の身体を目指して伸びてゆく。
男が気づいた頃には、蔓の髪は男の口に勢いよくなだれ込んでいた。
男は必死で暴れるが、効果はない。
やがて空中を掻く手からも力が抜け、だらりとだらしなくソファから垂れ下がった。
美しい花の少女の髪は男の体内を進み、身体中の血管を占領した。
男の血液を吸って赤く染まった少女の髪は、そのあと急速に元の長さに戻っていった。
前より更に美しく、健康的な赤みを帯びた少女は窓を飛び降り、既に息絶えた男を残して部屋を出ていった。
これが謎の猟奇殺人としてメディアに取り上げられるのは、これから一週間ほど先の事になる。
ー
「おお…。また一段と綺麗になって。」
官能的なほどの芳香を漂わせながら、少女は花屋に帰ってきた。それを迎えた主人は、店の奥から一人の美しい少年を連れてきた。
「あの男が出ていった後、ようやく咲いたんだ。」
少女は少年に歩み寄り、あの愛らしい顔で微笑んだ。
少年もそれに応えるかのように微笑み、少女の手をとって口づけをした。
「あの人も焦りすぎたんだ…。あの時の雄花はまだ『蕾』だったのだ。どんな花にも蕾の時期があるという事を、知らなかったのだろうか…。」
美しい花々の受粉を見ながら、花屋の主人は水差しをとって自分に振
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- ね。 内容は面白いけど、投稿サイトが違ってるょね。K
- 本当にあった怖い話?のサイトでしょう?匿名
- なんか 面白い話しまゆ
- なかなか楽しいお話でした。
- 主人の頭を殴っちゃダメでしょ。怪我した主人の方が心配だわ。ココロ
- 作り話だとは思うがなかなか面白かったモッコリ
- 作り話しだよ!!
- 何この話‼ ちょっと意味が分からないマカロン
- メルヘンチックですなーザックス
- おとぎ話しみないな話。