
中編
近所のお姉ちゃん。
匿名 2016年10月28日
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前置き。私は霊感が有るのか無いのか。見えたり見えなかったり、感じたり感じなかったり。不安定でいい加減なものである。
そんな私の幼少期のお話し。小さい頃、赤いマリで良く遊んでくれるお姉ちゃんがいた。と言っても幼少期の話しなのではっきり覚えている訳ではなく、何となくそんな事もあったかな程度だった。
丁度その頃、実家の目の前の道路が拡張工事するだかで、立ち退きして欲しいといったはなしがあった。父は偉く怒って居たのを覚えている。話もまとまり、引越しが決まる(と言っても近所のアパートに引越して家が建てばまた戻るって感じなので、遠くに引っ越すとかではない。)と、家が変わるためそのお姉ちゃんに話をしなくてわと思った。
そのお姉ちゃんが何処に住んでいて名前もわからない事に気づいた。お姉ちゃんお姉ちゃんと呼んで居たので不便は無かったのだ。両親は共働きで、祖父母が一緒に住んでいて、日中は祖父母が見てくれていた為、祖母にそのお姉ちゃんの家を聞こうと思った。
私「おばーちゃん。お姉ちゃんのお家どこ?」
祖母「え?お姉ちゃんて、〇〇さんちの××ちゃんかい?」
私「違うよー。いつも赤いスカートはいてるお姉ちゃん。良くお庭とか畳の部屋に来てるでしょー」
祖母「えーっ?ばーちゃんわからないわー」
こんな感じに話が噛み合わない。確かにいつも庭から来ていた。(家の裏に庭があり、塀があって近所の友達はよく塀を越えて遊びに来ていたので普通の事だった)畳の部屋か庭でしか遊ばなかった。
それから、引越しの日までお姉ちゃんは来ることは無かった。引越しの日、家が取り壊されるため、家の壁に落書きしても良いと言う許し(笑)がおり、ぎりぎりまで壁に絵を描いていたら庭と畳の部屋を繋ぐ引き戸が開いた。見るとお姉ちゃんがいた。お姉ちゃんを見るや否や私は引越しの事をまくしたてて話した。
お姉ちゃんはニコニコ話を聞いてくれた。落書きを許された事を話し、一緒に落書きしようと誘った。するとお姉ちゃんは悲しそうに
「もう、一緒に遊べなくなるの。ごめんね。」
と言って黙ってしまった。遠くに引越ししてしまうのかと、聞いても悲しそうに困った笑みを浮かべるだけだった。
祖母に声をかけられ、振り向くとお姉ちゃんは居なくなっていた。そこからはめまぐるしく、母が体調を崩し入院して3ヵ月程で亡くなってしまった。父は転んで骨折し、入院。退院する頃には祖母が入院。3ヵ月程で祖母も退院して新しい家に引越した。ずっと入院していた祖父が亡くなった。
数年の月日が流れ、その間も色々あった。その頃にはお姉ちゃんの事を忘れていた。
ふと、呼ばれた気がして庭を見ると、以前より小さくなった庭に昔と変わらない姿のお姉ちゃんがきた。見つけるとまた今まであった事を泣きながら話した。お姉ちゃんは静かに悲しそうな顔で聞いてくれた。1通り話終えるとお姉ちゃんが消え入りそうな声で謝ってきた。
「ごめんね。なんとかしようとしたのだけど…助けられ無かった…ごめんね。私ちゃんと、お兄ちゃんは助けられたけど…ごめんね。」
そう言って目の前でフワッと消えてしまった。
当時は訳が分からず、混乱していたが、お姉ちゃんは家にいた守り神と言うか座敷童子の様な存在だったのではないかと今は思う。
その後、おこった出来事はまた別のお話し。
後日談:
- 時系列と詳細は変えてありますが、実話です。
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