
中編
廃墟となった精神病院
ひろ 2日前
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これは私も訪れたことのある某精神病院跡で、私の廃墟探索仲間のH氏が体験した話です。
この精神病院は、院長が入院患者を虐待していたことが発覚し、閉鎖に追い込まれた病院でした。虐待による死者も出たために院長や関係者は実刑処分、新聞やニュースでも当時多く取り上げられました。
私やH氏がこの精神病院を訪れたのは、事件から10年余りが経過した頃でした。
まずは私が訪れた時の話を。
以前も書きましたが、私は廃墟の退廃美マニアなのでオカルト的要素には微塵も興味がなく、またそういった事象に遭遇することをまるきり期待もしていません。
ですが、たま~に、「ああ、この廃墟は本当に幽霊的な何かがいるのかもしれない」と感覚的に感じる廃墟もありました。
この精神病院もそういったタイプの所でした。
空気が重く、淀んでいるのです。いやそりゃ廃墟なので空気はどこも淀んでいるのですが、なんというか、淀み方がきついというか、うまく言えないのですが、他の廃墟とはちょっと雰囲気が違っているのです。
私がここを訪問したときにはこれといった怪奇現象のようなものも起きずに、「なんだか嫌な感じの所だな」というだけのものでした。しかしこの廃墟を出たあたりから異様に右肩が重く、酷い肩こりのような鈍痛が出始めたのです。
「まさかな」とは思いつつ放っておくと、この鈍痛は数日後には消えました。
で、H氏の話です。
H氏も私と間をおかずこの廃墟を訪れていたそうです。
この病院は地上3階地下1階建てとなっており、2~3階は大部屋の病室。1階は受付や浴室、ホールなどの施設、地下には牢獄のような檻のついた個人病室が並んでいました。
この牢獄のような個人病室の中には車いすなどが放置されており、それが絵になると、廃墟愛好家たちのなかでは人気の撮影スポットとなっていました。
H氏は3階から見て回り、最後に地下へ下りたそうです。
地下といっても半地下なので、窓から明かりはぼんやり入ります。
長い廊下があって、右側に檻が並んでいます。檻の中には車いすが放置され、H氏はそれらの写真を撮っていました。
その時でした。
ガン・・・・ガン・・・・・ガン・・・・・・・
先ほど写真を撮っていた檻のほうから、檻を叩くような音が響いてきたのです。
H氏はぞっとして硬直しました。
自分以外誰もいないのは明らかですし、ここは半地下なので風が入り込むこともありません。
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