本当にあった怖い話

怖い話の投稿サイト。自由に投稿やコメントができます。

お題 中編
目を描いてはいけない
目を描いてはいけない
お題 中編

目を描いてはいけない

16時間前
怖い 4
怖くない 1
chat_bubble 0
142 views

私の中学校の美術室には、描きかけの自画像が一枚だけ残されていた。

美術準備室の奥、古いイーゼルに立てかけられたキャンバス。制服姿の女子生徒が描かれているのだが、顔だけが未完成だった。輪郭も髪も丁寧に描かれているのに、目だけが白く塗り残されている。

美術部の先輩たちは、その絵のことを「見えない子」と呼んでいた。

「絶対に目を描き足しちゃだめだよ」

入部した日、三年生の先輩にそう言われた。

理由を聞いても、先輩は「見えるようになるから」としか言わなかった。

ある日の放課後、私は同じ美術部の真由と二人で居残りをしていた。文化祭に出すポスターが間に合わず、美術室には私たち以外誰もいなかった。

外は雨で、窓の向こうは暗い。石膏像の白い顔が、蛍光灯の光でぼんやり浮かんでいた。

真由は退屈そうに準備室の方を見た。

「ねえ、あの絵、見たことある?」

「見えない子?」

「そう。それ」

止める間もなく、真由は準備室の扉を開けた。

私は慌てて後を追った。

奥に、例の自画像があった。

雨の湿気のせいか、キャンバスは少し波打っていた。白く抜けた両目が、こちらを見ていないのに、なぜか視線を感じさせた。

「怖がりすぎでしょ」

真由は筆を取った。

「やめなよ」

「ちょっと点を入れるだけ」

そう言って、真由は右目に黒い絵の具を落とした。

その瞬間、美術室の蛍光灯が一度だけ点滅した。

ぱちん。

私たちは黙った。

何も起きない。

真由は笑った。

「ほら、ただの噂じゃん」

そのとき、準備室の外から椅子を引く音がした。

ぎい。

美術室には誰もいないはずだった。

私がそっと覗くと、窓際の席に誰かが座っていた。

制服姿の女子生徒だった。

背中を向けて、机に向かっている。長い髪が肩に垂れていて、こちらから顔は見えない。

「誰?」

私が声をかけると、その子はゆっくり振り向いた。

顔には、右目だけがあった。

左目は白く抜けていた。

真由が小さく悲鳴をあげた。

その子は、片方だけの目で私たちを見つめると、口を開いた。

「まだ、見えない」

声はすぐ近くで聞こえた。なのに、口の動きと合っていなかった。

真由は筆を落とし、準備室の奥へ後ずさった。

そのとき、背後で何かが倒れた。

振り返ると、キャンバスの中の女子生徒が変わっていた。

白く抜けていたはずの右目が、真由の描いた黒で塗られている。そして、絵の中の口元がほんの少し笑っていた。

「左も」

美術室の女子生徒が言った。

「左も描いて」

真由は首を振った。

「いや、いやだ」

すると、その子は机から立ち上がった。

1 / 2

後日談:

後日談はまだありません。

アバター 001_001

はじめまして、よろしくお願いします。

投稿数 1
怖い評価 0
閲覧数 27

この怖い話はどうでしたか?

f X LINE

chat_bubble コメント(0件)

コメントはまだありません。

0/500

利用規約をよく読んで、同意の上でコメントしてください。

・連続コメントは禁止しておりますが、新規登録・ログインすることで、連続コメントも可能となります。

お客様の端末情報

IP:::ffff:172.30.0.102

端末:Mozilla/5.0 AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko; compatible; ClaudeBot/1.0; +claudebot@anthropic.com)

※ 不適切な投稿の抑止・対応のために記録される場合があります。

label 話題のタグ

search

【参加型】投稿企画・タイアップ企画

  • 学校
  • 心霊スポット
  • 意味怖
  • 禍禍女

一息で読める短い怪談

読み込み中...

じっくり染み込む中編怪談

読み込み中...

深夜に読むと戻れなくなる長編怪談

読み込み中...