
中編
気になる押入れ
匿名 4日前
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なり、しばらく後片付けなどしながら談笑していたのだが、このMさんが「そういえば、部屋は大丈夫なの」と気になる発言をしたのである。
俺が「どういうことです?」と聞き返すと、Mさんは「しまった」、みたいな顔を一瞬したあと、決まり悪そうに「いや、Iくんの話なんだけど、聞いてない?」と言った。
要領を得ないのでさらに問い詰めると、Mさんはとんでもない話を始めた。
俺が現在住んでいる部屋は以前、Iくんという俺と同い年の青年が住んでいたという。
Iくんの部屋の近所にはIくんのお母さんも住んでいたのだけど、この母親が少し精神に異常をきたしており、一緒にいると何かと喧嘩沙汰になるためIくんは同居はせず、仕事が終わったら母親の家に行って身の回りの世話をし、それが終わったら帰ってきて就寝、翌日また仕事終わったら母親の家へ…という毎日を送っていたらしい。
ある日、Iくんと母親はまた喧嘩になった。この日の喧嘩は苛烈を極め、長時間に渡った。母親のボルテージは最高潮に達し、Iくんを鈍器で殴りつけるなどの深手を負わせ、這這の体で逃げ出したIくんは部屋に戻った。が、母親も後を追ってきており、喧嘩はIくんの部屋で第2ラウンド。心身ともに困憊していたIくんは逃げるのに精一杯だった。長い攻防の末、ついに押入まで追い詰められたIくんは、そのまま押入の中で母親に絞め殺されてしまったらしい。
話し終えたMさんは、「これ、俺から聞いたって言わないでね。」と口止めしたあと店から出ていった。Mさんが去った直後、俺は所長に辞意を表明し、店を辞め部屋を引き上げ友達の家に転がり込んだ。
俺が眠る深夜、Iくんは押入の戸を開け、俺のことを覗いていたに違いない。
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- I君にとってそこしか居場所がないから害意がない限り共存してください。時々酒とツマミをお供えしてください。酔わないとやってられない時もあるので。( ͡° ͜ʖ ͡°)