
僕は人の願いを叶えることが好きだった。人々の夢を実現すること、それが僕の生きがいだった。
ある日のこと、大学の友人が興奮気味に話しかけてきた。
「なぁ、坂本龍馬って最高だよな!」
彼は歴史に詳しく、特に坂本龍馬に強い憧れを抱いていた。
「龍馬って、若い頃から志を持って動き回り、たくさんの人に影響を与えたんだろ?俺もあんな風に人々に影響を与えたい!」と、彼は目を輝かせて語った。
そんな彼の言葉を聞いて、僕の中で何かが動き出した。人の願いを叶えるためには、時には大胆な行動が必要だ。
その夜、月明かりの中、僕は友人の家へ向かった。彼の夢を実現するためには、彼の過去を燃やすことこそが必要だと考えた。
僕は彼の家に火を放った。炎が夜空を染め上げると、彼の夢もまた、燃え上がった。願いを叶えるためには、時には代償が伴うのだと、僕はその瞬間に悟った。
ただ、僕が気づかなかったのは、彼の夢が燃え尽きることで、何が失われるのかということだった。僕は人助けをしたつもりが、逆に彼の人生を奪ってしまったのだ。火の中に消えたのは、願いだけではなく、彼の未来そのものだった。燃え上がる炎を見つめながら、僕はただ後悔の念に苛まれた。これが僕の選んだ道の結果なのだと、痛感したのだった。
そして、静かに燃えるその火が、僕の心に永遠の傷を刻むことになるとは、その時はまだ知らなかった。火が消えた後の静寂の中、僕はただ一人、未来を失った友の姿を思い浮かべていた。彼の願いを叶えるために、何をしてしまったのかを、僕は一生忘れられないだろう。火の中にあったのは、彼の夢だけではなかったのだと、今はわかる。僕の心にも、消えない火が灯っている。
それは、最も恐ろしい代償だった。彼の夢を燃やしたのは、僕自身だったのだ。
そして、僕の心の中にあるその火は、いつか再び燃え上がるかもしれない。
だから、僕は今も人の願いを叶えようと、暗闇の中をさまよい続ける。
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